相続した不動産を売却した際、ちゃんと税金を申告したつもりが、税務署から指摘を受け、 追徴課税をかせられる場合があります。相続税申告を数百件経験した相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の山田浩史税理士が、その理由を説明します。

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「取得価額引継整理票」の照会手続きとは

売却する不動産が過去に買換特例の適用を受けているかどうかは、相続により取得した場合のようにその不動産を購入した本人でなければわからないことがあります。

 

もちろん買換時の確定申告書類を親が残していればそれを確認すれば明らかですが、かなり前の書類となると保存されていないことも珍しくありません。

 

そのように手掛かりとなる書類がない場合には、税務署に対して「取得価額引継整理票」の照会をする方法があります。

 

「取得価額引継整理票」とは、買換特例を適用した不動産に対して将来課税もれがないようにするために買換物件の取得費などの情報を記録した書類で、買換物件の所在地を所轄する税務署に保管されています。

 

照会方法は、以下の必要書類を持参してまず税務署へ訪問の上申請を行い、後日回答をもらうために再度訪問し口頭にて金額を教えてもらう、という流れです(無料)。

 

[必要書類]
1.物件の登記簿謄本(相続で取得した場合は相続登記後のもの)
2.所有者の本人確認書類(運転免許証など)
3.委任状(税理士等が代理で行う場合。所定の様式はない。認印可)

 

この照会手続きにより、引き継がれた取得費などが確認され譲渡所得の計算を正しく行うことができるというわけです。

 

■まとめ

実務では、対象物件の登記簿謄本を見て、「売買で取得をしているものの過去に抵当権が設定された記録がない(ローンを組まず現金で取得している)ので買換特例を受けたのかな?」と思い、依頼者に確認し自宅を探してもらったところ、過去に買換特例を受けた確定申告書が出てきた、ということもありました。基本的には依頼者からの情報・資料提供が頼りで税理士の関与があっても見落としてしまうことはあると思われます。

 

確定申告書や不動産の売買や購入に関する書類はたとえ昔のものであっても保管しておくことが最善ですが、もしもかつて実家(持ち家)が引越しをしたことがある、ということであれば、その際に「買換特例を受けてはいなかったか」という視点をまずは持つことが大切な備えとなるでしょう。

 

 

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