株式会社ウェルダン代表取締役で、一級建築士の資格を持つ兼坂成一氏の著書『人生が変わる家づくり 一生気持ちよく暮らせるマイホーム』より一部を抜粋し、物件購入前の土地選びにおいて、プロが「北道路の敷地」を勧める理由について解説します。

「南道路の土地」だけにこだわると、思わぬ弊害も

日当たりがよい土地にこだわりすぎるのも、土地購入の機会が減る原因となります。必ずしも南道路の土地が最良というわけではありません。南道路の敷地は玄関も南になるケースがあり、主要な空間の南に面する長さがその分減ってしまうことがあるからです。またリビングの前を他の人が通行するため、場合によってはその視線が気になるような敷地もあるからです。

 

 

その反対に、決して一般受けはしませんが北道路の敷地にはメリットが多いのも事実です。

 

玄関が道路に近い北に配置でき、南面に主要な居室を並べることができます。また南側に隣家が建っているでしょうが、その南側の隣家の北向きの窓、つまりこちらを向いた窓はトイレや浴室、納戸といった部屋が配置されている可能性が高く、必然的に小さく透明でもない窓が向いているため、プライバシーが気になりにくいことが多いです。さらに北側斜線、高度地区斜線といった規制も、北道路の場合には緩和されるなどいいことがたくさんあります。

 

もちろん日当たりが良く、明るい土地に魅力があるのは当たり前なのですが、日当たりと関係なく全ての方位の部屋が快適になる家を建てることができれば、日当たりの重要度合いは多少なりとも減りますし、通常は土地の価格も抑えることができるかもしれないので、土地選定の候補から真っ先に外すことはないと思います。

 

また地盤の良い悪いを非常に気にされる建て主もいます。地盤が悪い場合に地盤改良という補強工事が必要とはなりますが、その費用は一般的に平均100万円程度であり、家づくり全体の計画に大きな影響を与える額ではないかと思います。

 

建築会社の中には契約どころか間取りも決まらない最初の時点で、地盤調査を行うよう勧めてくる場合がありますが、結局は建物の形状と敷地内の建物配置場所が確定したあとに再調査しなければならなくなってしまうので、通常は急ぐ必要はないと思います。

 

それから「建築条件付き」とされる土地では、こだわりの注文住宅を建てるという願いが叶わないこととなります。「建築条件」という言葉は、その土地を購入した場合には指定された建築会社でしか家を建てられませんよ、という条件が付いている土地のことです。

 

「建て売り」住宅は建てた家を土地ごと販売していますが、それとは順番が逆で土地の購入者が決まってから建物を建てるので「売り建て」住宅とも呼ばれます。建築会社を選べないという厳しい条件が課せられているため一般的に土地自体の価格は抑えられているのですが、気に入った建築会社で家を建てたいと願っている場合、こうした土地は不可だと言えます。

 

古家が建っているまま売り出されている土地は、建物が薄汚く、うっそうとした木々に囲まれ、塀も朽ち、よいイメージを持ちにくいため避けられる傾向にあります。ところが実際には建物を解体、樹木を伐採、塀を造り替えてしまえば、きれいな土地なのですから候補から外す必要は一切ありません。

 

30坪程度の木造家屋の解体は条件にもよりますが150~200万円ほどです。その解体費用の分を値引き交渉したり、更地渡しに変更してもらったりということも、もしかしたら可能かもしれません。いずれにせよ土地選びは、信頼のおける建築士に相談しながら行いましょう。

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    兼坂 成一

    幻冬舎メディアコンサルティング

    一生に一度の家づくりで失敗したくない──マイホームを建てようとする人にとっては当然の願いです。家づくりは、家族の人生にも大きな影響を及ぼす一大イベントです。だからこそ、多くの人が間取りやデザイン、素材、設備など…

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