本記事は『妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策』の一部を抜粋したものです。

株式は絶対に信頼できる人にしか預けない

株式は経営権と直結するものです。過半数、あるいは3分の2以上を握っていれば問題ないと考えがちですが、少数株を持っている株主にもさまざまな権利があります。《トラブル事例1》では愛人の持分は3%強ということですから、下記の権利の大半を行使できることになります。

 

株主総会招集請求権(100分の3以上の株式を保有)

一定の理由を示した上で、株主総会を招集するよう会社側に請求する権利

 

株主提案権議案通知請求権(100分の1以上もしくは300個以上の議決権を保有)

一定の事柄について株主総会で取り上げるよう請求する権利。またそのことについて他の株主に知らせるよう請求する権利

 

株主総会の招集手続等に関する検査役の選任請求権(100分の1以上の株式を保有)

株主総会の招集に先立ち、総会招集の手続きや議決の方法などを調査する検査役の選任を裁判所に請求する権利

 

会計帳簿閲覧請求権(100分の3以上の株式を保有)

会計帳簿の閲覧や謄写を請求する権利

 

業務の執行に関する検査役の選任請求権(100分の3以上の株式を保有)

会社業務の中に法令や定款に違反する行為があると疑われる時、検査役の選任を裁判所に請求する権利

 

役員解任の訴え(100分の3以上の株式を保有)

不法、不正、定款に違反する行為をした役員の解任が株主総会で否決された時に、解任を裁判所に請求する権利

 

会社解散の訴え(100分の10以上の株式を保有)

会社の存続が難しいなどやむを得ない事情がある時、会社の解散を裁判所に請求する権利

 

株主総会を招集されたり、業務の執行に関する検査役の選任を請求されたり、役員解任や会社解散を訴えられたりしたら愛人の存在が知れ渡り、振り回されている姿を世間にさらすことになってしまいます。

 

従業員が知れば真面目に働く意欲が低下しモラルハザードが起きるかもしれません。取引先や銀行からの目が厳しくなることで、さまざまな弊害が発生することも考えられます。これを防ぐにはまず、「自社株は絶対的に信頼できる人にしか渡さない」という基本を守ることが重要です。とはいえ、すでに渡してしまっている場合には、とにかく一日も早く回収するしかありません。

 

《トラブル事例1》のように社長との関係が終わってしまえば、愛人にとって株式は無意味な財産です。最後は何らかの処分を考えることでしょう。やはり、話し合いができるときに解消しておくことが賢明です。

妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策

妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策

佐野 明彦

幻冬舎メディアコンサルティング

どんな男性も妻や家族に隠し続けていることの一つや二つはあるものです。妻からの理解が得にくいと思って秘密にしている趣味、誰にも存在を教えていない預金口座や現金、借金、あるいは愛人や隠し子、さらには彼らが住んでいる…

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