恐ろしい!築20年の「老朽マンション」となり…
そうこうしているうちにマンションは築20年となり、中小規模の修繕だけでなく、大規模修繕も考えなければならない時期に差し掛かってきました。しかしAさん自身も年老いてきて、子ども世代にとって何が得な選択かという正しい判断ができなくなりました。配偶者と二人のお子さんも不動産の知識がないために、的確なアドバイスができません。
周囲の誰もが正しい判断をすることのないままマンションは老朽化し、この状態のままでAさんが亡くなってしまうと、負担は子どもの代に残ってしまいます。Aさんは、子どもたちに相続税と老朽化したマンションの経営という負担を背負い込ませてしまうわけにはいかないと、悶々とした毎日を過ごしています。
不動産仲介業者からは「建て替えるのも費用がかかるので、損を出しても売却して税金を減らしたほうがいい」、税理士からは「借金があればむしろ相続税対策になるから残しておいたほうがいい」などと様々な意見が出てきて、誰を信じればいいのかわかりません。
結果的に、悩みながら税金だけを払い続けることになり、そのうちキャッシュが底をついて銀行からも差し押さえを受けるはめになります。いつか価値が上がったり、入居者が増えたりするのではないかという淡い期待もあるのかもしれませんが、とりあえず所有しておくしかない不動産こそ、「塩漬け」状態だといえます。