日本各所に点在する、高級住宅地。どのようにして高級住宅地となったのか、その資産価値はどれくらいなのか。富裕層が住む、知られざる高級住宅地のストーリーを紐解いていきます。今回ご紹介するのは、世田谷区成城。

 

現在、多くの邸宅が並ぶのは、成城学園含む成城4~6丁目。広々とした邸宅の庭には多くの木々が植えられ、幅広にとられた道には、桜やイチョウの街路樹が植えられています。整然としたなかに緑があふれる街並みは、成城ならでは。先人たちの街への思いがいまなお息づいています。

 

この成城らしい街並みを継承・発展させるためにつくられたのが「成城憲章」。私たちのまち成城は、大正期に成城学園の立地と郊外住宅地の開発とが結びついて、理想の学園都市をめざして誕生しました――そんな一文で始まる紳士協定で、建物は10m以下の高さにすること、敷地は一戸当たり250m2以上を目指すこと、建物を隣地から1m以上離すこと、塀を造る場合は高さを1.8m以下にすること、敷地の20%を緑を植えることなど、景観や美観への配慮を求めています。

緑美しいお屋敷街・成城に住む人々とは?

成城学園を中心に整然とした美しい街並みが広がり、その良好な住環境を住民の努力によって守られている世田谷区成城。この街には、どんな人が住んでいるのでしょうか。国勢調査(2015年)などの結果から、その傾向を紐解いていきます。

 

世田谷区成城4~6丁目に住んでいる人は6,970人。人口密度は8,500人/km2と、世田谷区の1万5,561人/km2の約半分と、敷地の広い邸宅が並ぶ成城の街の街並みが目に浮かびます。次に世代ごとにみていくと、15歳未満12.42%、65歳未満が26.48%と区平均を上回る一方、15~65歳未満は61.09%と、区平均を6%近く下回ります。これは邸宅の多い高級住宅地にみられる傾向で、二人世帯やファミリー層が多く、単身世帯が少ないエリアでよくある構成です。

 

実際に世帯の状況をみていくと、世田谷区の単身世帯率は49.92%に対して、成城4~6丁目は28.79%と大きく下回ります。また1世帯当たりの人員も世田谷区は1.92人と2人を下回るのに対し、成城4~6丁目は2.37人。成城は、ファミリー層に支持される街という一面がみえてきました。

 

さらに成城における家族のあり方をみていきます。成城4~6丁目の世帯で夫婦のみの世帯は、23.59%と、区平均を7%近く上回ります。そのうち高齢者夫婦だけの世帯は14.14%と、こちらも区平均を6%近く上回ります。一方で、子どもがいる世帯は35.81%と、区平均を12ポイント近くも上回ります。さらに子どもがいる世帯のうち、子どもが小学生から中学生の6~14歳の世帯が最も多く、全世帯のうち15.54%。区平均と7ポイント近いギャップがあります。邸宅に住むのは、高齢者夫婦と小学生から中学生の子どもがいる家庭が多数派になります。

 

次に持ち家率をみていくと、区平均を27ポイント近く上回る77.27%。また一戸建ての割合も区平均を31ポイント近く上回る62.28%。成城の高級住宅地に住む世帯の5人に4人が持ち家で、3人2人が恐らく豪邸であろう一軒家に住んでいます。

 

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