費用面等「日帰り」のメリットは大きいが、注意点あり
Q 日帰りと入院、どちらがいいの?
白内障の手術は痛みがほとんどなく、体への負担がないのが特徴です。そのため、コントロールできていない高血圧や糖尿病など、内科との連携が必要な持病がない限りは、日帰り手術が可能です。
近年では日帰り手術のほうが主流になり、白内障の手術件数の過半数を占めています。入院費用が発生しないため、日帰り入院のほうが費用面でも大きなメリットがあります。
ただし、当日は手術終了後に、治療した眼に眼帯をするため視野が狭くなります。高齢の方や体が不自由な方は、付き添いで来てくれる人がいたほうが安心です。また、術後は車の運転ができません。自家用車で通院する方は、付き添いの人に運転をお願いしましょう。
一方で、1泊の入院ができる医療機関もあり、持病がある方はもちろんのこと、当日の帰宅に不安がある方は入院のほうが良いでしょう。ほかにも、信頼できる医療機関が遠方にある場合に、近隣のホテルに宿泊して手術と診察を受ける方もいらっしゃいます。
筆者のクリニックでも遠方からの患者さんを受け入れており、その場合は可能であれば5日間ほど滞在していただき、検査や手術を行います。その後の定期検診は地元の眼科で受けていただいています。
Q 手術が不安です。どう乗り切ればいいですか?
白内障手術を受けることになった方の多くは、「怖いな」「不安だな」「大丈夫かな」といったマイナスの感情をお持ちだと思います。
眼というとても大事な器官の手術ですから、そう感じるのは当たり前のことです。特に手術自体が初めての方でしたら、なおさらでしょう。
手術日が迫るにつれて、夜なかなか眠れなくなったり、精神的に不安定になったりする患者さんもいます。そうならないように、事前に心の準備をしておくことをおすすめします。
まずは、心のなかにある不安の正体を探ってみましょう。
「痛くないかな」
「手術中に眼が動いても大丈夫なのかな」
「合併症が起こったらどうすればいいだろう」
「ちゃんと見えるようになるだろうか」
「もし先生の調子が悪くて、手術が失敗してしまったらどうしよう」
ほかにも、患者さんの頭をよぎる恐怖感や疑問は、たくさんあると思います。
ただ、そういった感情すべてに共通するのは、現実ではほぼ起こり得ない、ネガティブな発想から生まれているということです。
白内障手術においては、点眼麻酔が行われるため痛みはほぼなく、合併症もほとんど起こりません。
「痛みに弱くて自信がない」という方は、手術中に「痛いです」と伝えてくだされば、麻酔を追加することで対応が可能です。
ほかにも、患者さんの具体的な不安の内容さえ分かれば、経験豊富な医師ならば、それらすべてに対しての答えを持っています。
この記事をお読みくださった皆さんは、白内障に関するさまざまな情報を得たことによって、精度の高い検査や設備投資を行い、確かなレンズ選択ができる、信頼できる医療機関にたどり着くはずです。
信頼している医師の話を聞けば、自分の想像するネガティブな未来は起こらないことが分かり、不安は自ずとなくなるでしょう。
「こんなことを話してもいいのだろうか?」などと遠慮せず、ぜひ胸のうちを打ち明けてみてください。
「医師を信じてはいるけれども、変な胸騒ぎが収まらない」
という方は、術後の新しい生活をイメージしてみてください。
1年前に買ったテレビの映像があまりにもきれいで、驚いているでしょうか。
読むのがつらくなって本棚に置かれている、面白い歴史小説を読んでいますか。
「ナイスショット!」と友人に言われたのに見えていなかったゴルフボールの行き先が見えて、爽快な気分を感じているでしょうか。
お孫さんを公園に連れていき、芝生の上でお弁当を広げて、すがすがしい青空を気持ち良く眺めているでしょうか。
白内障手術を受けたあとには、きっと大きな感動が待っています。
ネガティブになりがちな手術前ですが、新しい生活が始まったあとの楽しい毎日を想像することで、不安や恐怖を乗り越えやすくなるはずです。
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