「より高いリターンを得よう」とするのが投資である
ある銘柄Aを購入後、予想外に20%下げてしまいました。そこであなたはロスカットしようか否かをためらいます。1ヵ月に5%ずつ戻せば、4ヵ後には20%の下落分が元に戻ると考えられるからです。
しかし、20%下げた時点でロスカットをして、その売却代金を別の銘柄Bに投資した場合、1ヵ月ごとに10%ぐらい値上がりしそうです。つまり、4ヵ月後には、40%の値上がりが期待できるのです。
さて、その予想通りになるとして、ロスカットしない場合とした場合を比較すると、銘柄Aが20%下げた時点からの運用成績はどうなるでしょうか。
・ロスカットしてその資金で銘柄Bを購入→4ヵ月後に40%上昇(銘柄A購入時から+20%のリターン)
結果は以上のようになります。
この計算では手数料を考慮していませんが、それを差し引いても、ロスカットして銘柄Bに投資をした方が運用成績は良くなることがおわかりでしょう。
このように、ロスカットせずにその銘柄の再上昇を待ち続けることは、より有利な運用機会を逃すことになりかねません。そしてそれは、ギャンブルで損をした時に、それを取り返そうとしてさらにそのギャンブルを続けることに似ているのかもしれません。
株式に限らずすべての投資は、資産運用であり、より高いリターンを得ようとする行為です。
ある投資対象が値下がりてしまったとき、その値が戻る際に得られる利回りよりも大きな利回りを得られる投資対象があるのならば、そちらに資金を投じる方が賢明なのです。
「あなたの買い値」に意味はない
そもそも、値下がりした株が「あなたの買い値」に戻るのを待つことに、深い意味はありません。
「あなたの買い値」は、果たしてどういう意味を持つのでしょうか?
結局それは、単に「あなたが買った時の価格」にすぎず、売買の基準となる価格でも、その企業の価値を示す価格でもないのです。
行動経済学的に、人間は収益よりも損失に敏感に反応し、少しでも損をすると、それを取り返そうと躍起になってしまう傾向があるそうです。
そこがロスカットの心理的抵抗となるのかもしれませんが、しかし、「あなたの買い値」にこだわり、値下がりした株価がそこまで戻るのを待つことは、前述のようにより高いリターンを得ることの妨げになりかねないのです。
ですから予想外に株価が値下がりしてしまった場合は、あなたの買い値は忘れ、その時点でその株価が適正かどうかを判断し直すとよいでしょう。そして割安ではないと判断したならば、さらなる値下がりの可能性もあることですし、ロスカットするのが賢明なのです。
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