いつの時代もなくならない相続トラブル。「生前しっかり話し合ったから大丈夫」…ではないのです。大切な人の死後、まさかの事態が起きてしまったら? 相続終活専門協会代表理事・江幡吉昭氏が実際の事例をもとに解説します。 ※本連載は遺言相続.com掲載の事例を編集したものです。プライバシーに配慮し、相談内容と変えている部分があります。

「お金を払うのでなんとかお願いします」まさかの結末

「お礼(お金)を払うのでなんとかお願いします」と頼み込みましたが、「お金をもらっても嫌だ」といいだす始末。一度は「一人30万円前後もらえるのであれば、水道管をつなげてもいい」と決着がつく寸前までいきましたが、Aさんは再度拒否。話がどんどんこじれていってしまいました。

 

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Aさんは態度を硬化し、次男長女も八方塞りです。これでは土地も売れないので相続税も期限内に支払えないのではないか?という話になり、次男・長女はさらに譲歩します。

 

「私道を少し売って我々の持ち分にさせてくれませんか?」と頼み込みます。しかし結論はダメ。ついにはAさんは「水道のために私道を掘ることはおろか、そもそも私道を勝手に通ってもらっても困るんだ!」とキレ始めたのです。

 

そこで2人は向いに住むBさんのもとへ相談したところ、次男と長女は私道の持ち分をBさんから少し売ってもらえることになりました。気のいいBさんのおかげで、水道を引けるようになり、私道の持ち分も少し譲ってもらったので通行も可能に。無事、建売業者に土地を売却できたのです。

 

Aさんからすれば、変に嫌がらせなどせずに、素直に2人から2~30万円もらっておけばよかったのにという話です。

 

地下を走っている水道をどう引き込むかは、あまり知られていません。引き込めなければ売れないこともあります。また、土地の前面道路の種類は何なのか、権利(持ち分)はどうなっているのかによって、土地の価値も変わってきます。

 

基本こういった通行掘削(つうこうくっさく)は売り主側でやらなければなりません。全部買主に任せたいところですが、一般的にはそうもいきません。

 

前面道路が公道であれば問題ないですが、私道の場合権利関係や持分の有無によって、売りたくても売れない場合があります。相続発生前に「この土地を売って相続税の足しにすればいい」というお考えの方は事前に専門家に相談することも大事でしょう。

 

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江幡 吉昭

株式会社アレース・ファミリーオフィス代表取締役

一般社団法人 相続終活専門協会代表理事

 

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本連載に記載されているデータおよび各種制度の情報はいずれも執筆時点のものであり(2020年8月)、今後変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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