投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社、DEEP INSIGHT。日々のマーケット情報や政治動向を専門家が読み解き、深く分析・解説します。

調査官は重加算税をかけたがる
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
5/19(日)>>>WEBセミナー

 

株式市場の注目点は、引き続き米国の大統領選挙や追加景気対策であることに変わりはないだろうが、本来であれば企業決算の動向も株式市場にとって重要な判断材料のひとつになる。現在進行中の欧米7-9月期決算発表では、特に米国が大方の予想に反して堅調な内容となっており、米大統領選後の株式市場を支える支援材料となりうるだろう。

米国は回復、欧州は低迷

米国(S&P500指数)の7-9月期予想EPS(1株当たり利益)は上方修正が続いている。一時は前年同期比26%減益まで下方修正されたものの、10月23日時点では同18%減益まで上方修正された。一方、欧州(STOXX600指数)の7-9月期予想EPSは底打ちの兆しは見られず、10月16日時点では前年同期比32%減益となっている。

 

決算シーズンはまだ始まったばかりであり、10月26日現在でS&P500構成企業の決算発表社数は145社、SXXP600構成企業の決算発表社数は88社のみだ(注:EPSの発表が無い欧州企業は除外)。しかし、ポジティブ・サプライズ(市場予想を上回った決算発表)の割合は米国で85%、欧州で72%といずれも好調な滑り出しとなっており、アナリスト予想が過度に悲観的になっていたことが指摘される(いずれもブルームバーグ集計)。この傾向が今後も続けば、特に米国で予想EPSがさらに上方修正される可能性があるだろう。

 

週次、前年同期比、期間:2020年1月末~10月23日(欧州は10月16日まで) 出所:Bloombergのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]欧米20年7-9月期コンセンサス予想EPS伸び率 週次、前年同期比、期間:2020年1月末~10月23日(欧州は10月16日まで)
出所:Bloombergのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

企業の業績ガイダンスも市場予想を上振れ

S&P500構成企業が発表する20年10-12月期の業績ガイダンスも好調だ。ファクトセットの集計(10月23日時点)では業績ガイダンスを発表した企業数は24社あり、そのうち市場予想を上回ったのは19社だった。このポジティブ・サプライズの割合は79%であり、過去5年平均の32%を大幅に上回っている。

 

アナリストの利益予想における上方/下方修正状況が分かる世界利益リビジョン指数は、足元で急激に上昇している。コロナショックによる反動も多分にあるが、直近の水準はITバブル崩壊後の株価回復局面にあった2004年4月、そしてリーマンショック後の株価回復局面にあった2009年8月時点に相当する。

 

新型コロナウイルスの感染状況によっては、10-12月以降の予想EPSが下方修正される可能性があるため、リスク要因として留意すべきだが、特に足元で見られる米国企業業績の力強い回復は評価されてしかるべきだろう。

 

週次、前年同期比、期間:2020年1月末~10月23日(欧州は10月16日まで) 出所:Bloombergのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]欧米20年10-12月期コンセンサス予想EPS伸び率 週次、前年同期比、期間:2020年1月末~10月23日(欧州は10月16日まで)
出所:Bloombergのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

週次、期間:2000年1月7日~2020年10月23日 出所:Citi、Bloombergのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表3]世界利益リビジョン指数 週次、期間:2000年1月7日~2020年10月23日
出所:Citi、Bloombergのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『欧米7-9月期決算の状況』を参照)。

 

(2020年10月28日)

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社 

運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

【5/7開催】ABBA案件の成功体験から投資戦略も解説
世界の有名アーティスト「音楽著作権」へのパッション投資とは

 

【5/8開催】使わない理由はない!?
金融資産1億円以上の方だからできる「新NISA」活用術

 

【5/8開催】「相続登記」を放置するとどんなトラブルに?!
2024年4月施行「相続登記の義務化」を専門弁護士がイチから解説

 

【5/9開催】認知症対策だけじゃない!
数世代先の相続まで見据えた資産管理・承継ができる
「家族信託」活用術

 

【5/9開催】「海外法人のつくり方・つかい方」
日本に居ながら自分の「分身」を海外に作るメリットは何か?

 

【5/11開催】相続人の頭を悩ませ続ける
「共有名義不動産」の出口は“売却”だけじゃない!
問題点と最新の解決策を藤宮浩氏が特別解説

 

【5/12開催】良い案件を見つける3つの方策とは?
「日本型オペレーティングリース」投資の基礎講座

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧