年をとれば誰でも身体の自由がきかなくなり、生活するにも人の助けが必要になります。望んでひとり暮らしをする高齢者が増加する現代、「おひとり様」が高齢者向け施設へ入居する際、どんなことが障害となり得るのでしょうか。シニア生活文化研究所・代表理事の小谷みどり氏の著書『ひとり終活』より一部を抜粋し、解説します。

 

たとえば東京都新宿区では、保証委託契約を締結して転居する場合、支払った保証料の一部を最長10年間助成します。同じく中央区でも、高齢者住宅財団に支払った保証料の半分を助成してくれます。台東区でも初回のみ、保証料の半額を助成してくれますが、限度額が2万円と設定されています。

 

同じ都内でも、市区町村によって助成制度の内容は異なりますので、転居しようとしている先の役所に確認してみることが大切です。

 

独自の保証制度を持っている自治体もあります。神戸市では、神戸すまいまちづくり公社の「神戸すまいのあんしん入居制度」があり、

 

①利用者が所有、居住する家の家財の片付け
②死亡後の住居の家財の片付け
③安否確認
④葬儀の実施
⑤原則終身保証で、賃貸借契約上の入居者の連帯保証人になる
 

のサービスを提供しています。

 

老人ホームでは、家賃保証をする会社やNPOと独自に提携している施設もありますが、連帯保証人がいなければ入居できない施設がまだまだ多いのが実態です。その場合は、弁護士、司法書士、行政書士などにお願いするか、保証人引き受けを専門とする団体やNPOなどと入居者が契約します。

なぜ高齢者の入居時には「身元引受人」が必要なのか

一方、身元引受人は、入居者が入院したり、判断能力がなくなったりした場合、賃貸住宅なら退去する手続きをしたり、老人ホームであれば延命措置をするのか、どのような介護をどこで受けるのかなどを本人に代わって決定します。

 

亡くなった後、遺体を引き取ったり、部屋の片付けをしたりする責任もあります。入居者が高齢の場合、健康悪化や死亡などのリスクが高いため、貸主や施設側からすれば、身元引受人がいないと不安です。

 

身元引受人がいない場合には、任意後見制度の利用をおすすめします。任意後見とは、判断能力がある間に、後見人選定や介護や財産管理などに関する希望を公正証書で契約することです。後見人は親族でなくてもかまいません。

 

費用はかかりますが、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門家に依頼する方法もあります。後見人は連帯保証人も兼務します。

 

 

小谷みどり 

シニア生活文化研究所代表理事

 

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ひとり終活

ひとり終活

小谷 みどり

小学館

元気なうちは気兼ねの要らない自由な暮らしがいいと思っていても、ひとり暮らしの人は、将来に不安を感じることも多い。 介護が必要になったら誰が面倒を見てくれるのだろう? 万が一のとき誰にも気づいてもらえなかったら…

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