※本記事は、弁護士の稲葉治久氏の著書『男はこうしてバカを見る 男女トラブルの法律学』(幻冬舎MC)の内容を一部抜粋・改編したものです。最新の情報・税制等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

 

(認知の方法)

 

認知は、役所に所定の認知届を提出して行います(図表1)。つまり、口頭で「認知する」と言っただけでは、認知をしたことにはなりません。

 

[図表1]認知届

 

(認知の効果)

 

認知をしたことにより、その対象となった子どもとの間には法律上の親子関係が生まれます。その結果、認知した側には子どもを養育する義務が、すなわち養育費を支払う義務が、認知された子どもには相続権が発生します。

 

なお、先のケースで元交際相手が産んだ子どもをKさんが認知したとすれば、Kさんと元交際相手は結婚しているわけではないので、その子どもは非嫡出子となります。非嫡出子とは婚姻関係にない男女の間に生まれた子どものことです。一方、婚姻関係にある男女の間に生まれた子どもを嫡出子といいます(図表2)。かつては、非嫡出子は相続の場面において、法律上、嫡出子に比べ不利益な扱いを受けていましたが、現在は両者の権利は同等となっています。

 

[図表2]嫡出子と非嫡出子

安易に認知せず、まずはDNA鑑定で確認を

先に述べたように、認知をした子どもとの間には法律上の親子関係が生まれ、養育費を支払わなければならず、また自らの財産を相続させる義務を負うことになります。

 

こうした非常に重い法律上の義務や責任を負うことになるわけですから、たとえその原因となる行為に覚えがあり、女性から強く求められたとしても安易に認知をすべきではありません。まずは、DNA鑑定を行って、本当に自分の子どもなのかをしっかりと確認するようにしましょう。

 

たとえ長年の恋人だったとしても、その全てを完全に知り尽くしているわけではないはずです。知らないところで、ひそかに浮気をされていた可能性はゼロではないでしょう。女性の感情を害したくないという気持ちから、「DNA鑑定を受けてほしい」とはどうしても言いにくい人もいるかもしれませんが、後々まで「やはり自分の子どもではないのでは?」と疑念を持ち続けるのは、精神衛生上も決して好ましいことではありません。

 

後悔のない人生を送るためにも、「鑑定を受けないのなら絶対に認知しない」という堅い意思をもつことが必要です。

次ページ「間違いなく自分の子ども」とわかった場合には…

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