算数が苦手な子ほど「解法を覚える」「量をこなす」といった学習法に頼りがちですが、算数の学習は「知識を身に付けたうえで、活用法を知る」ことが重要です。ここでは、超難関校の受験に頻出する単元の、効果的な学習法を解説します。※本連載は、中学受験専門塾ジーニアスの松本亘正氏と教誓健司氏の著書『合格する算数の授業 数の性質編』(実務教育出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

 

中学受験では、灘、開成、麻布といった超難関校ほど「数の性質」の単元が入試に多く出る傾向があります。この単元は、「わかる」と「正解する」のギャップが大きくなりやすいため、注意が必要です。難関校合格のために不可欠な単元の学習方法を紹介します。

 

N進法は「位取り記数法」とも呼ばれる

私たちが、普段から何気なく使っている数字は、「位取り記数法(くらいどりきすうほう)」という方法で表したものです。ローマ数字とは異なり、「位」という考え方が用いられています。「位取り記数法(くらいどりきすうほう)」のことを、「N進法」とも言います。

 

10個集まると次の位になる数の表し方を、十進法と言います。

 

「1の位」に10個集まると、10倍された「10の位」になり、「10の位」に10個集まると、さらに10倍された「100の位」へと位があがります。

 

十進法では、0を含めて10種類の記号が必要となります。十進法で「123」と表すと、「100の位」が1、「10の位」が2、「1の位」が3というように考えますよね。

 

 

式で表すと、100×1+10×2+1×3となります。

数が16個集まると位があがる「十六進法」

10個ではなく、16個集まると位があがる形で数を表すこともできます。これを十六進法と言います。

 

この時、「1の位」の次は16倍された「16の位」、その次の位はさらに16倍された「256の位」となります。

 

十六進法では、0を含めて16種類の記号が必要となるので、0~9に加え、「A,B,C,D,E,F」を用います。それぞれ十進法に直すと、Aは10、Bは11、Cは12、Dは13、Eは14、Fは15となります。

 

十六進法で「F」が1文字あるだけで、十進法の「15」となるのは不思議に感じるかもしれませんが、まずは「そういうものだ」と思っておきましょう。

 

たとえば、十六進法で「2B3」と表すと、「256の位」が2、「16の位」がB、「1の位」が3となるわけです。

 

 

十進法に直すと、256×2+16×11+1×3=691となります。このように、十進法以外で表された数を十進法に直すのは、各位が何を表しているかを考えていけば、簡単ですね。

 

二進法や十六進法は、とくにコンピュータで数字を扱う時に便利な方法です。そのため、非常によく使われています。

十進法以外で表された数を、十進法にしてみよう

次に、十進法以外の数を十進法に直す練習をしてみましょう。

 

二進法では、2個集まると次の位になるので、下の位から順に1の位、2の位、4の位、8の位となります。

 

よって、(1)の答えは、8×1+4×1+2×0+1×1=13となります。

 

五進法では、5個集まると次の位になるので、下の位から順に1の位、5の位、25の位となります。

 

よって、(2)の答えは、25×1+5×2+1×3=38となります。

十進法から別のN進法に数字を直す

では、続いて、十進法から別のN進法に数字を直してみましょう。例として、123(十進法)を二進法で表すことを考えます。

 

1の位から、順を追って位をあげていきます。2個集まると位があがるので、123÷2=61あまり1と計算することで、「2の位」が61、「1の位」があまりの1となります。

 

123=2×61+1×1

 

「2の位」に61個も集めることはできないので、さらに位をあげます。61÷2=30あまり1と計算することで、「4の位」が30、「2の位」があまりの1となります。

 

123=4×30+2×1+1×1

 

「4の位」の30個について、30÷2=15あまりなしと計算することで、「8の位」が15、「4の位」が0とできます。

 

123=8×15+4×0+2×1+1×1

 

この作業を繰り返すと、123を次のように表すことができます。

 

123=64×1+32×1+16×1+8×1+4×0+2×1+1×1

 

これで、123(十進法)を二進法で表すと、「1111011」となることがわかりました。

 

十進法の123を二進法に直す計算について、割り算の式を書くと、次のようになります。

 

 

式をたくさん書くのは大変ですが、割り算を筆算でつなげて書くと、少しラクに計算できます。

 

ちなみに、二進法で「1111011」と表された時、10の位や100の位ではないので「ヒャクジュウイチマンセンジュウイチ」とは読みません。単に「イチイチイチイチレイイチイチ」と読むようにしてください。

 

 

では、練習してみましょう。

 

 

(1)の問題の2020を、十進法から八進法に直すには8で割り続けます。

 

 

これで、2020は八進法だと3744となることがわかりました。(2)の問題ですが、二進法から十六進法に直接変換(へんかん)するのは難しいので、まずは十進法に直しましょう。

 

二進法で表された11010100を十進法に直すと212となることがわかりました。16で割り算して、十六進法に直しましょう。この計算はすぐに終わります。

 

 

13は十六進法では「D」と表すことになっているので、212を十六進法に直すと、D4となります。

 

 

松本 亘正
中学受験専門塾ジーニアス 代表

教誓 健司
中学受験専門塾ジーニアス 講師

 

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中学受験「だから、そうなのか!」とガツンとわかる 合格する算数の授業 数の性質編

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松本 亘正 教誓 健司

実務教育出版

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