人間が美しさを感じる「黄金比」
さて、下の図のように、長方形から正方形を切り取ると、もとの長方形と同じ形(相似)になる長方形があるとします。
このような長方形の縦と横の長さの比を、「黄金比」と言います。簡単な整数の比で表すことはできませんが、短いほうの辺の長さを1とすると、「1:1.61803…」となります。
黄金比は、およそ「1:1.618」とされることが多いのです。これは人間が美しさを感じる比率と言われていて、美術品や建物の中に多く見出すことができます。古代ギリシアの時代に建てられたパルテノン神殿が、その一例として有名です。
連続するフィボナッチ数の関係は、黄金比に近づく
じつは、前回の記事(灘、開成に入る子なら解ける「フィボナッチ数列」の問題とは?)に掲載していた例題のように正方形をたくさん描いていくと、全体の長方形の縦と横の長さの関係が「黄金比」に近づいていくことが知られています。
本当に黄金比に近づいていくのか、さっそく計算してみましょう。フィボナッチ数列について、次の数が前の数の何倍になっているのかを計算すればいいですね。
順番に割り算してみると、次のようになります。
このように、少しずつ黄金比に近づいていくのです。この法則を知ると、きっとフィボナッチ数列を見るたびに「美しい」と感じるようになっていくはずですよ。
フィボナッチ数列の総まとめ
●1番目の数を1、2番目の数を1として、
3番目の数=1番目の数+2番目の数=1+1=2
4番目の数=2番目の数+3番目の数=1+2=3
というように前の2つの数を足した数を並べたものを「フィボナッチ数列」と言う
1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144,233,…
●フィボナッチ数列に登場する数を「フィボナッチ数」と言う
●フィボナッチ数は、自然界でも多く確認することができる数
●連続する2つのフィボナッチ数の関係は、「黄金比」(およそ1:1.618)に近づいていく
① は、一度に1段または2段で階段をのぼる方法の計算問題
②は、1辺の長さが1の正方形を2つ並べて長方形をつくり、そのすぐ下、そのすぐ右へと、順番に接する正方形を並べていく時の正方形の1辺の長さの計算問題
●フィボナッチ数列のように、前の数を組み合わせて次の数が決まるような問題を解く時には、まずは小さい数で計算をしながら規則を見つけて、その規則を使って大きな数の計算をしていくのがポイント
松本 亘正
中学受験専門塾ジーニアス 代表
教誓 健司
中学受験専門塾ジーニアス 講師
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