算数が苦手な子ほど「解法を覚える」「量をこなす」といった学習法に頼りがちですが、算数の学習は「知識を身に付けたうえで、活用法を知る」ことが重要です。ここでは、超難関校の受験に頻出する単元の、効果的な学習法を解説します。※本連載は、中学受験専門塾ジーニアスの松本亘正氏と教誓健司氏の著書『合格する算数の授業 数の性質編』(実務教育出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

 

中学受験では、灘、開成、麻布といった超難関校ほど「数の性質」の単元が入試に多く出る傾向があります。この単元は、「わかる」と「正解する」のギャップが大きくなりやすいため、注意が必要です。難関校合格のために不可欠な単元の学習方法を紹介します。

人間が美しさを感じる「黄金比」

さて、下の図のように、長方形から正方形を切り取ると、もとの長方形と同じ形(相似)になる長方形があるとします。

 

 

 

このような長方形の縦と横の長さの比を、「黄金比」と言います。簡単な整数の比で表すことはできませんが、短いほうの辺の長さを1とすると、「1:1.61803…」となります。

 

黄金比は、およそ「1:1.618」とされることが多いのです。これは人間が美しさを感じる比率と言われていて、美術品や建物の中に多く見出すことができます。古代ギリシアの時代に建てられたパルテノン神殿が、その一例として有名です。

 

連続するフィボナッチ数の関係は、黄金比に近づく

じつは、前回の記事(灘、開成に入る子なら解ける「フィボナッチ数列」の問題とは?)に掲載していた例題のように正方形をたくさん描いていくと、全体の長方形の縦と横の長さの関係が「黄金比」に近づいていくことが知られています。

 

本当に黄金比に近づいていくのか、さっそく計算してみましょう。フィボナッチ数列について、次の数が前の数の何倍になっているのかを計算すればいいですね。

順番に割り算してみると、次のようになります。

 

 

このように、少しずつ黄金比に近づいていくのです。この法則を知ると、きっとフィボナッチ数列を見るたびに「美しい」と感じるようになっていくはずですよ。

フィボナッチ数列の総まとめ

●1番目の数を1、2番目の数を1として、

 3番目の数=1番目の数+2番目の数=1+1=2

 4番目の数=2番目の数+3番目の数=1+2=3

 

というように前の2つの数を足した数を並べたものを「フィボナッチ数列」と言う

 

1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144,233,…

 

●フィボナッチ数列に登場する数を「フィボナッチ数」と言う

 

●フィボナッチ数は、自然界でも多く確認することができる数

 

●連続する2つのフィボナッチ数の関係は、「黄金比」(およそ1:1.618)に近づいていく

① は、一度に1段または2段で階段をのぼる方法の計算問題

②は、1辺の長さが1の正方形を2つ並べて長方形をつくり、そのすぐ下、そのすぐ右へと、順番に接する正方形を並べていく時の正方形の1辺の長さの計算問題

 

 

●フィボナッチ数列のように、前の数を組み合わせて次の数が決まるような問題を解く時には、まずは小さい数で計算をしながら規則を見つけて、その規則を使って大きな数の計算をしていくのがポイント

 

 

松本 亘正
中学受験専門塾ジーニアス 代表

教誓 健司
中学受験専門塾ジーニアス 講師

 

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中学受験「だから、そうなのか!」とガツンとわかる 合格する算数の授業 数の性質編

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松本 亘正 教誓 健司

実務教育出版

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