わかっても、正解できない…超難関中学入試「数の性質」の問題

算数が苦手な子ほど「解法を覚える」「量をこなす」といった学習法に頼りがちですが、算数の学習は「知識を身に付けたうえで、活用法を知る」ことが重要です。ここでは、超難関校の受験に頻出する単元の、効果的な学習法を解説します。※本連載は、中学受験専門塾ジーニアスの松本亘正氏と教誓健司氏の著書『合格する算数の授業 数の性質編』(実務教育出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

 

中学受験では、灘、開成、麻布といった超難関校ほど「数の性質」の単元が入試に多く出る傾向があります。この単元は、「わかる」と「正解する」のギャップが大きくなりやすいため、注意が必要です。難関校合格のために不可欠な単元の学習方法を紹介します。

 

【登場人物】

教誓先生:読み方は「きょうせい せんせい」。名は体を表すのか、教えることが大好き。幼い頃から約数の多い数は「よい」数だと感じていたが、あまり共感を得られないらしい。出題者の意図をくんで解くことを心掛けている。

まなぶ君:算数は好きだけど、勉強は嫌いで、できればラクしたいと思っている小学5年生。6年生になったら中学受験をするので塾に通っている。たまにめんどくさがり屋の一面をのぞかせる。

美しい創作はすべて約1.618倍の比率…これって偶然?

教誓先生:さあ、今日もがんばりましょう。ところで、もっとも美しい形はどのような形だと思いますか?

 

まなぶ君:唐突ですね…やっぱり正三角形や立方体かなぁ。

 

教誓先生:確かに、図形の問題を解く時に、正三角形や正方形、立方体といった美しい形を考えると、解き方が見えてくることがあります。とても大事な視点です。でも、今日はちょっと違う話です。質問を変えましょう。ルーブル美術館には、「モナリザ」という絵があります。この絵に描かれている女性の顔の縦の長さは横の長さの何倍でしょう?

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

まなぶ君:そんなのわかるわけないですよ。じゃあ2倍!

 

教誓先生:2倍もあると思いますか? それじゃあ、顔が長すぎますよ。

 

まなぶ君:確かに…。じゃあ、1.5倍!

 

教誓先生:正解は…約1.618倍です。

 

まなぶ君:先生、ぼくはクイズ選手権に出るつもりはないので、そういう雑学を教えてもらってもあまり意味がないような…。

 

教誓先生:パリに行くと、「モナリザ」以外にも約1.618倍の比率のものをたくさん見つけることができるんですよ。同じルーブル美術館にある「ミロのヴィーナス」もそうです。他に「凱旋門(がいせんもん)」にも同じ比率がありますね。

 

まなぶ君:そういえば、先生はパリが好きで何回も旅行に行っているんでしたっけ。でも、ぼくにとってはどうでもいい情報だなぁ。だいたい、1.618倍というのも偶然かもしれないし…。そろそろ算数の勉強を始めましょうよ。

 

教誓先生:えぇ、もう始まっていますよ。

 

まなぶ君:えっ⁉

フィボナッチ数列は、1つ前の数が足されていく数列

まずは、次の問題を見てみましょう。

 

例題

ある規則にしたがって、数が並んでいます。

1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, 144, □

この時、□にあてはまる数を求めなさい。

 

この数列は、中学入試によく登場する有名な数列です。6年生の受験生であれば、瞬間的に反応できなくてはいけません。いったいどんな規則があるのでしょうか。まずは差に注目します。

 

 

差を書き込んでみると、どんな規則があるか見えてきましたね。前の2つの数を足す形になっています。

 

よって、答えは89+144=233と求めることができます。

 

このような数列を「フィボナッチ数列」と言い、この数列に登場する数をフィボナッチ数と言います。1202年に出版された『算盤(そろばん)の書』の中で紹介されていて、その筆者であるレオナルド・フィボナッチの名前が使われています。

植物の花びらにも隠れているフィボナッチ数

フィボナッチ数は、自然界の至るところで発見できることが知られており、花びらの枚数はフィボナッチ数であるものが多いようです。たとえば、ユリの花びらは3枚、サクラの花びらは5枚、コスモスの花びらは8枚になっています。

 

 

ユリの花びらは一見6枚に見えますが、外側にある3枚の花びらのようなものは、「がく」です。同じように、「がく」が「花びら」と間違えられやすい植物としてはアジサイが有名ですね。

 

『種の起源』の著者であるイギリスの科学者ダーウィンが体系化した「自然選択説」という考え方があります。これによると、自然環境に適した生き物のほうが子孫を残しやすいようです。

 

花びらが7枚の植物よりも、フィボナッチ数である8枚のほうが自然環境に適しているとしたら、何とも不思議なものですね。

 

※次回は、次回は、難関中学の入試問題によく取り上げられる数式の問題を例に、さらに詳しく解説していきます。

 

 

松本 亘正
中学受験専門塾ジーニアス 代表

教誓 健司
中学受験専門塾ジーニアス 講師

 

中学受験専門塾ジーニアス 運営会社代表 

慶應義塾大学在学中に中学受験専門塾ジーニアスを開校し、運営会社の代表に就任。現在は東京・神奈川の6地区に校舎がある。

ジーニアスはハイレベルな少人数制指導塾として、1学年200人強から開成、麻布などの御三家各校、筑波大附属駒場、慶應中等部、早稲田実業、渋谷教育学園渋谷、ラ・サールなど超難関校に例年合格者を多数輩出しており、募集時には毎年満席になる校舎もある。また、家庭教師のトライの映像授業「Try IT」の社会科を担当し、高校受験生からの支持も厚い。

おもな著書に『合格する算数の授業 図形編・数の性質編』『合格する地理の授業 47都道府県編・日本の産業編』(実務教育出版)があり、ほめて伸ばすだけをよしとしない、タイプ別に子どもへの対応方法を変えるなど独自の子育て論にも注目が集まっている。

著者紹介

1988年広島県生まれ。広島学院中学高校へ進学するにあたり、お世話になった塾の先生の影響で算数を好きになる。大学在学中は四谷大塚の学生講師として算数と理科の授業を3年間担当し、その後中学受験専門塾ジーニアスに移籍。ゲーム好きで、ゲームの攻略に関する仕事をしていたことも。

YouTube チャンネル「0時間目のジーニアス」で算数の入試問題解説動画を公開するなど、映像授業でも活躍中。主な著書に『合格する算数の授業 図形編』がある。

著者紹介

連載最新の中学受験問題…合格する算数「数の性質編」

合格する算数の授業 数の性質編

合格する算数の授業 数の性質編

松本 亘正 教誓 健司

実務教育出版

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