「これを食べると病気にならない」といった根拠のない健康情報番組や、芸能人にちょっとした異常値が見つかっただけでおそろしい病気が見つかったような過剰な演出を行い、受診者の寿命が極端に短いがごとく煽動する番組など、視聴者(患者)に誤った医療知識を植え付けてしまうTV番組が後を絶ちません。今回は、愛知医科大学・内科学講座肝胆膵内科学准教授である角田圭雄氏の書籍『MBA的医療経営』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、「医療安全」を実現させるために必要なことを解説します。

 

日々ネットやメールを通じて膨大な情報が飛び込んできますが、情報過多(情報による肥満状態)になっているような気がします。果たしてその膨大な情報をうまく活用できているでしょうか。もっと情報を重要なもののみのやせ型(lean)に絞っていくべきです。


第三に、選択肢の情報提供とその選択へのサポートです。ここ20年の間に医療界では十分な説明と同意(informedconsent)が盛んにいわれてきましたが、最近は患者の主体的な選択(informedchoice)、自己決定の重要性(informeddecision-making)といって選択肢を提示して、患者に主体的に選択してもらう概念が注目されています。

 

選択可能な方針が複数ある場合(たとえば、ある種の癌で手術と化学療法の予後に大差がないと考えられる場合)、患者が主体的に複数の方針からひとつを選択するよう促します。

 

第四に、社会への啓発活動があります。近年の医療系ドラマの影響でしょうか。救急外来を受診すれば、かっこいい医師が登場して、まれな病気でもすばやく診断し治療する、あるいはどんな困難な外科手術であってもスーパードクターXが見事に手術し生還するといった空想です。一般の患者や社会に医学の不確実性を理解してもらうことが必要です。

 

また、こんなものを食べると病気にならないといった根拠のない健康情報番組や、芸能人に健診などを受けさせてちょっとした異常値が見つかっただけでおそろしい病気が見つかったような過剰な演出を行い、受診者の寿命が極端に短いがごとく煽動する番組があります。

 

マスコミの方々には正確な医療情報を伝える番組制作を行っていただかないと、医療者は大きな迷惑を被っていることをご理解いただきたいと思います。視聴者側も情報の良し悪しを判断する目を持たないとますますそんな番組が増えて有害です。

「リスク」と「不確実性」の違いとは?

[図表]を見て下さい。皆様はどちらの壺を選び、どちらの玉が出ると予想しますか?

 

[図表2]エルスバーグのパラドックス

 

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角田 圭雄

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