小学校で学ぶ内容は進学以降の基礎となるので、苦手科目があれば早々に克服しておきたいものです。しかし、ただひたすら「できない問題」を解かせ続けたり、「ごほうび」で釣ろうとしたりするのは逆効果です。家庭で手軽に実践できる、苦手科目の成績を伸ばす方法を解説。※本連載は、桜ゼミナール塾長、チャイルドコーチングアドバイザーの安村知倫氏の著書『子どもの成績を「伸ばす親」と「伸ばせない親」の習慣』(明日香出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「100点を取ったらゲームを買ってあげる」の落とし穴

ご家庭で単に「勉強しなさい!」とだけ言っても、聞く子どもはいないでしょう。勉強にやる気がない子には、ごほうびを用意するのも1つの方法だと思います。子どもに「ごほうび」を用意してあげれば、勉強のやる気が出て頑張るのは間違いなさそうです。

 

ただし、ごほうびをあげるときは注意が必要です。

 

100点でごほうびをあげる約束をしたとしましょう。もし100点を取れなかったら、子どもはどう感じると思いますか? 「頑張ったけどダメだった」「努力しても無駄だ」と思ってしまう子もいます。心が折れて意欲をなくしてしまっては、元も子もありません。

 

もちろん、結果を求めるのが悪いとは言いません。お子さんの心が結果至上主義にならないように気をつけていただきたいのです。結果だけ出せばいいと考えるようになると、手段を選ばなくなり、不正をしてでも結果を求める子が出てくるからです。

「努力をしたらごほうび」の圧倒的メリット

では、どのような場合にごほうびを与えればいいでしょうか? アメリカのハーバード大学の教授が小中学生を対象に、結果に対してごほうびを用意するのがいいか、努力に対するごほうびを用意するほうがいいか、2つのグループの成績を比較する調査をしました。

 

2週間後にテストをすると伝えます。1つのグループはテストで100点を取ったらごほうびを与えると約束して、勉強をさせます。これは「良い結果が出たらごほうび」のグループです。もう一方のグループには、ドリルを毎日1ページしたらごほうびを与えると約束します。こちらは「決まった努力をしたらごほうび」のグループです。

 

結果としては「努力したらごほうび」のグループのほうが良い成績をおさめました。

 

詳しく調べてみると、努力したらごほうびがもらえる子どもたちは、やることが明確でモチベーションが保ちやすいことが好成績につながったようでした。子どもは近い将来の確実なごほうびのほうが、勉強へのやる気が出るということがわかります。

 

それに比べて「良い結果が出たらごほうび」の子どもたちは、勉強のやり方がわからない、学習しても良い結果が出るかどうか不安があるなどの理由で、モチベーションが続かないことがわかりました。

 

つまり、「100点を取ったらゲームを買ってあげる」と言って勉強させるよりも、それまでの努力を褒めながら勉強習慣をつけさせるほうが、成績は良くなるのです。

 

プロサッカー選手の三浦知良さんはご存知だと思います。夢であったワールドカップ出場はなりませんでしたが、彼が今も輝いて人々に感動を与えているのは、不断の努力があるからです。

 

最後に、ごほうびはモノでなくてもかまわないと思います。

 

お子さんが努力しているとき「頑張っているね」と声をかけて、気持ちのごほうびもたくさんあげてくださいね。

 

ごほうびを目的にするのではなく、努力することが大切だということがわかれば、ごほうびがなくても勉強する子になるでしょう。

 

良い例:「勉強頑張っているわね」

悪い例:「100点を取ったら、何か買ってあげる」

 

【まとめ】伸ばす親は、努力の大切さを教える!

 

 

安村 知倫

桜ゼミナール塾長

チャイルドコーチングアドバイザー

 

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子どもの成績を「伸ばす親」と「伸ばせない親」の習慣

子どもの成績を「伸ばす親」と「伸ばせない親」の習慣

安村 知倫

明日香出版社

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