「どこがわからないの?」はNGワード
お子さんがリビングで学校の宿題に取り組んでいます。「頑張ってエライな」と思っていると、「お母さん、わからない」と質問してきます。お母さんは一生懸命に教えるのですが、お子さんの表情がさえない。
「説明が悪かったかな?」と、もう一度ゆっくりと説明してあげますが、子どもは首をかしげたまま。そこで「どこがわからないの?」と子どもに聞いてみると、「何がわからないかがわからない」と言い出してしまいました…。
こうなると、お母さんも焦ってしまいますね。「学校の授業聞いているの?」「先生に質問しなさい!」と感情的になってしまうかもしれません。
実は、子どもが「どこがわからないかわからない」と言い出すことはよくあることで、多くの子どもは自分がどこでつまずいているか自覚できません。
つまずいたら、「わかるところ」まで戻るのがベスト
では、「どこがわからないかわからない」という子には、どう対応すればいいのでしょうか?
確実なのは、お子さんがわかるところまで戻ってあげることです。1つ前の段階に戻って、お子さんに「xxについてはわかる?」と聞いてみてください。例えば、3ケタ÷2ケタの割り算がスムーズでないなら、1つ前の2ケタ÷1ケタができるかどうかチェックしてあげてください。もし、2ケタ÷1ケタがスラスラできないなら、九九につまずきがあります。
以前、小学校6年生で塾に来たSさんは、算数の割り算が不得意でした。苦手な箇所を確かめると、2ケタ÷1ケタが解けなかったので、九九までさかのぼって復習することにしました。お母さんはショックを受けている様子でしたが、中学校に入学してから「あのときに九九に戻って復習して本当によかった」と笑顔で話してくれました。
九九の確認まで戻るのは勇気がいりますが、つまずきを発見したときに戻ったほうがお子さんの将来にとっていいのです。
多くの子がつまずく割合の文章問題の例でいえば、次のようになります。
『ある品物を4000円で仕入れた。
仕入れ値の3割の利益を見込んで定価をつけた。』
「仕入れる」「仕入れ値」「3割」「利益」「定価」と、小学生が嫌いな言葉だらけです(笑)。問題をぱっと見て「全然わからない!」と言い出す子もいます。言葉の意味がわからないときは、1つひとつ辛抱強く教えてあげる必要があります。文章題が苦手なお子さんには、計算式を立てるより前の「言葉」に戻ってあげてください。
もし英単語を覚えられないなら、覚える前の段階である音読のチェックが必要です。英単語は漢字と同じく、スラスラ読めないと覚えられないからです。音読が大丈夫なら、英単語の意味の確認をしてみてください。
子どもが「わからない」と言い出したら、遠回りでも「わかるところ」まで戻ってあげる勇気が必要です。小学生の学習内容は中学生の学習内容にもつながるので、積み残しのないようにしてあげましょう。
良い例:「わかるところまで戻ろう!」
悪い例:「どこがわからないの?」
【まとめ】伸ばす親は、つまづきを発見したら、すぐ戻る!