年をとれば誰でも身体の自由がきかなくなり、生活するにも人の助けが必要になります。望んでひとり暮らしをする高齢者が増加する現代では、だれしも介護が必要になる前に、受けられる支援サービスなどを調べておくべきだといえます。今回は、シニア生活文化研究所・代表理事の小谷みどり氏の著書『ひとり終活』より一部を抜粋し、介護付き施設や支援サービスの選択肢について見ていきましょう。

 

グループホームとは、認知症の高齢者が食事や入浴、排泄などの介護サービスを受けながら、少人数で共同生活する住まいをいいます。介護保険制度では地域密着型サービスに分類されているため、入居希望者の住民票登録がある市区町村の施設しか利用できません。

 

定員は1軒(ユニット)で5人以上9人以下、最大で2ユニット18名までと定められているほか、介護スタッフは、日中は入居者3人に対して1人以上、夜間や深夜の時間帯は1軒あたり1人以上の配置が義務付けられています。

 

共同生活といっても、入居者は原則7.43㎡以上(和室の場合は4.5畳以上)の個室で寝起きし、食堂や居間、浴室などは共用で利用します。入居金は無料から50万円程度まで施設によって異なりますが、月額利用料は家賃、管理費、食費込みで十数万円が一般的です。そのほか、介護保険の1割(収入に応じて2割または3割)負担分や医療費が別途かかります。

 

しかしグループホームでは、介護スタッフが胃ろうや痰の吸入などの医療ケア、さらには看取りには対応できないことが少なくありません。認知症が進行し、共同生活に支障をきたしたり、寝たきりになったりすれば退去させられることもあります。

 

介護付き有料老人ホームでも認知症の人を受け入れているところは多いので、今住んでいる地域にどんな施設があるのかを、元気なうちに調べておくと安心です。グループホームがいいのか、有料老人ホームがいいのかも、人それぞれです。実際に施設に見学に行って、雰囲気を知っておくこともいいかもしれません。

選択肢②:重度要介護者優先の特別養護老人ホーム入居

介護が必要になり、特別養護老人ホーム(特養)に入りたくても、「入所の申し込みをし
たら何十人待ちと言われた」「何年も待たないと順番が回ってこない」などといった体験
談を見聞きしたことがある人は多いはずです。特養の入所待ちが多いことはよく知られて
いますが、実際はどうなのでしょうか?

 

特養に入所できる人は原則として、手厚い介護が必要で、自宅での介護では負担が大きい「要介護3」以上の高齢者に限定されていますが、認知症の場合には要介護1や2でも特例として入居できる可能性があります。申し込み順に入所できるわけではなく、要介護度が高い人や、ひとり暮らしで介護する人がいないなど、緊急性の高い人が優先されます。ここ数年、特養以外の選択肢が増え、入居待機者数や平均待機日数は減少しています。

 

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