
新型コロナウイルス感染拡大で医療現場はひっ迫し、医療崩壊ともいわれるなど、現場の医師や看護師、そして病院に注目が集まった。全国に緊急事態宣言が出された大混乱のさなか、ある医師から一本の電話がヘッドハンターにかかってきた。「どうやら資金ショートの噂が広がり、来年の春まで持たない。紹介できる病院はないか」と。もはや病院といえども安心の職場ではなくなった。ヘッドハンターが医師の転職の舞台裏を明かす。
病院の再編が進めば医師の転職が急増する
新型コロナウイルスの感染拡大が医療界を激変させています。
いま、医療界では医師の転職が切実な問題になりはじめています。医師の転職は従来からありますが、今後はかつてない数で増えていくことが予想されます。
その背景には病院の再編統合があります。医療界では現在、国の政策のもと、病院の再編統合が進められています。病院の再編統合が進むと、企業の合併と同じように、組織のスリム化が図られます。医療スタッフのなかに余剰人員が生まれ、それは医師も例外ではありません。

また、医師にとっては、これまで勤務していた病院に比べ、新しい病院の理念や方針、組織の風土が変わることで、働きにくくなったり、給与などの待遇が悪くなったりすることもありえます。
医師を取り巻くこうした環境の変化で、医師に転職の動機がこれまで以上に生まれやすくなり、医師の流動性が高まるというわけです。
一方で、現在、病院に勤務する先生の多くは、そうした病院再編の動きをほとんどご存じありません。または知っていても、医療界が再編の対象になっていることに対し、被害者意識を持っている方が少なくありません。過酷な医療現場でこんなにがんばっているのに、どうしてそんな仕打ちを受けなければいけないんだという気持ちです。もちろん、それは十分に理解できます。
ただ、病院の再編統合は国が施策として推進しているものなので、もはや避けて通ることはできません。今後は「生き残る病院」と、「淘汰される病院」が出てきます。そんななかで、医師もどの病院で働くのかということが切実な問題になってきているのです。
私たち半蔵門パートナーズは、医師を専門とするサーチ・スカウト型のヘッドハンティング(エグゼクティブ・サーチ)を手がけています。医師の転職は、かつては大学の医局が大きな力を持っており、医師の大半が医局の人事を通じてさまざまな医療機関に転職していました。
しかし、2004年に新臨床研修制度が始まって以降、転職スタイルに変化が現れました。大学医局に属する医師の割合が減り、医局人事とは別に転職するケースが増えているのです。その多くが人材紹介会社を通したものです。現在も医療機関が医師を採用する際に最も多いのが医局への依頼ですが、その次は人材紹介会社となっています。全国の病院の約半数が人材紹介会社を利用しているとみられています。
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