お金を生む「王道」は「利益」を出すこと
皆さん、会社に預金残高がいくらあるか把握していますか? 経営目的を実現するためには、人を育て、機械・土地・建物を購入し、どのような経営活動を行うべきかといった情報を判断して日々の活動を行う必要があります。そのためには、人材育成のための資金、機械などの購入資金が必要になってきます。つまり、経営目的を実現するためには資金であるお金が必要になってくるのです。
お金は、①株主が出した元手=資本金、②仕入先からの借金=買掛金、銀行からの借金=借入金、③売掛金の回収、土地・建物の売却といった経営活動から生まれます。
しかし、①の資本金は使えばいつか尽きてしまいます。②の借金ばかりすれば、後で返済しなければなりません。③の売掛金にも限度があります。土地・建物は売却すればなくなってしまい、場合によっては経営の基盤を揺るがします。
お金を生む〝王道〟は、利益を出すことです。利益を計上し、資産や負債への運用方法を確実にすれば、お金を手元に残すことができます。また、利益を計上し続けることで経営目的を実現するためのお金を増加させることができるのです。
したがって、資金は利益から生まれ、利益は売上から生まれます。そして売上は日々の働きから生まれるのです。
利益が出ても現金が増えるとは限らない
この理屈がわかるのであれば、社員全員の日々の働きが売上に、売上が利益に、利益が資金に確実に変わってくるような経営をしていかなければいけません。これを「キャッシュフロー経営」と呼んでいます。
しかし、キャッシュに関する3つの錯覚があります。
●働きが高まる≠売上が増える
一所懸命働くと売上が本当に増えますか? 経営者、上司の指示を守らず、経営計画に反して自分勝手に行動しても売上は増えません。経営方針、部門方針を理解せずに、各社員がただ動くだけでは機能せず、「人」として「動」くと「働」きになり、売上につながるのです。
●売上が増える≠利益が増える
売上が増えると利益は必ず増えるのでしょうか? たとえば、陳腐化した在庫を半値八掛けで販売すれば利益は出ません。粗利益の低い商品に販売員や物流のコストの手間暇をかけて販売しても、一見、粗利益は計上されているように見えますが、諸経費がかさんで利益どころか損になることも考えられます。
●利益が増える≠資金が増える
利益が上がった。でも税金は納められない。実効税率は36%程度なので、儲かった分だけお金があれば税金を納付できます。
なぜお金がないのでしょうか? それは、「売掛金を回収できない」「在庫が増えた」「借入金を一気に支払ってしまった」「車・機械を買った」・・・からです。つまり、儲かった利益が必ずお金として現金で増加するとは限らないということです。
収益活動と資金の運用調達は違ってくるのです。
儲かっている社長は、「まいどおおきに」と唱えながら、お金についてよい頃合いを見計らいながらシビアに考えて行動しています。