会社が潰れるのは「キャッシュ」が途切れるから
皆さん、決算書は申告期限内にしないと1年間、融資取引でペナルティがあることをご存じですか?通常、申告期限の応当日が土日になっている場合は、その次の日の月曜日が申告期限になっているので、最悪、その月曜日に申告を済ませれば問題ありません。金融機関からすれば、申告期限を守れないような経営者は、すべてにおいていい加減な取引をする可能性が高いという判断をされてしまいます。
黒字経営をしていた会社だと思って取引していたのに、ある日突然、兆候が外に出ないで倒産したというケースがあります。大阪弁でいうと「あ・・・・んさん、どうしたん?」ということで大騒ぎになります。会社も、社長も、その会社に働く従業員も仕入先などの取引先も同時に不幸に見舞われます。
信用調査の手段としては調査機関からの資料は重要ですが、兆候が外へ現れないといっても必ずどこかに〝兆し〟はあるはずです。それは、「経営者の態度」「従業員の様子」「手形の発行や支払条件の変更」などから伺い知ることができます。特に、現場で接する機会が多い営業パーソンはよく観察しておかなければなりません。
身体の病気でも〝痛み〟を伴うものには自然に対応が進むため、比較的大事に至らないケースが多いといわれます。これに対し、自覚症状がない肝臓の病気や、初期に痛みが伴わないガンなどは、病気の発見が遅れ、深刻な事態を招くことがあります。経営にも同じことがいえるかもしれません。
たとえば、原価割れするほど値段を下げた販売展開をし、「よく売れているから」と喜んでいたら、いつの間にかよもや倒産寸前になっているという事態が、普通に存在しうるのです。
これは、お金に余裕がないので長期的視野がもてず、行き当たりばったりの経営になっていて、てっとり早くお金が欲しいので、過度の値引き販売を行っていたからです。むしろ、〝売れ行き不振〟という深刻さが前面に出たほうが、適切な対策を早くとれることが多いのです。
「赤字」だけでは会社は潰れない
極論になりますが、赤字だけでは会社は潰れません。手元に現金さえあれば、赤字でも商売は続けられます。
たとえば、赤字でも潰れない会社の例とは、つぎのようなものです。
●同族で経営している小さな会社で、社長が役員報酬を大きくとり、会社は赤字になっている。しかし、会社の資金繰りが苦しいときは社長が会社にお金を貸し付けている。
●親会社が優良なため、子会社が赤字になっても資金援助して貸してもらえる。
逆に「黒字倒産」という言葉があるように、会社が黒字(利益を出している)の場合でも、現金が途切れてしまうと、会社は潰れてしまいます。
黒字倒産の例としては、つぎのようなものが考えられます。
●多額の固定資産の購入(自社ビルなど)
●過大な設備投資
●急成長による運転資金の増大
●経営判断のミスによる不良在庫の発生
●大口売掛金の回収遅延
●得意先倒産による連鎖倒産
●借入金の過大返済など
このように会社が倒産するというのは、「会社にお金がなくなった状態」をいいます。したがって、借金で倒産した会社はないのです。