23,000円台後半回復後の日経平均株価

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●日経平均は10月8日、終値で約8ヵ月ぶりに23,600円台を回復、長期トレンドは上向きを維持。

●引き続き米追加経済対策の行方に注目、また菅政権の政策に対し、海外投資家は慎重な姿勢。

●日経平均の一段高には中間決算での好材料や米大統領選挙後の政局不透明感解消が必要。

日経平均は10月8日、終値で約8ヵ月ぶりに23,600円台を回復、長期トレンドは上向きを維持

日経平均株価は10月8日、23,647円07銭で取引を終えました。終値で23,600円台を回復するのは2月14日以来となります。この動きは、トランプ米大統領が航空会社の給与補填策と中小企業の雇用支援策の承認を示唆したことで、前日の米国株が大きく上昇した流れを受けたものと思われます。日経平均株価の昨年末の終値は23,656円62銭でしたので、ほぼ昨年末の水準に戻ってきました。

 

日経平均株価は、2013年5月高値と2018年1月高値を結んだ上値抵抗線と、2012年10月安値と2016年6月安値を結んだ下値支持線によって、上昇トレンドが形成されています(図表1)。いわゆるコロナ・ショックで、春先にいったん下値支持線を割り込みましたが、その後は再びトレンド内に回帰し、現在も下値支持線付近で推移しています。この点から、日経平均株価のトレンド自体は、まだ上向きと解釈できます。

引き続き米追加経済対策の行方に注目、また菅政権の政策に対し、海外投資家は慎重な姿勢

前述の通り、足元では米追加経済対策に対する強い期待が、日本株や米国株の下支えになっているとみられますが、与野党の協議は依然難航しています。トランプ米政権は10月9日、航空会社と中小企業の雇用維持策や、失業給付の積み増しを盛り込み、経済対策の規模を1.8兆ドルとして民主党に再提案しました。しかしながら、民主党は財政難に陥った州・地方政府への資金支援を含む包括的な経済対策を要求しています。

 

米追加経済対策に関する与野党の合意確率について、弊社では50%以上と予想していますが、合意の遅れや協議を巡るトランプ氏の発言で相場が動揺する恐れもあるため、引き続き注意が必要です。一方、国内に目を向けると、菅首相が誕生した9月第3週(9月14日~18日)以降、海外投資家による現物や先物の売り越しが目立っており(図表2)、菅政権の政策に対する慎重な姿勢が確認できます。

日経平均の一段高には中間決算での好材料や米大統領選挙後の政局不透明感解消が必要

また、日本では今月下旬から3月期決算企業による中間決算の発表が本格化します。企業による今年度の業績見通しは、8月17日時点で売上高が前年度比-8.9%、経常利益は同-22.4%、当期利益は-25.9%という厳しい内容でした(QUICKのデータに基づく東証1部上場の金融を除く3月期決算企業1,021社の集計)。中間決算で、これらの見通しが上方修正されれば、業績の底打ち感が強まり、株価の一段高も期待されます。

 

なお、11月3日には米大統領選挙という一大イベントが控えています。今回は、10月8日付レポート「郵便投票~米大統領選に潜む警戒すべきリスク」で指摘した通り、大統領選の結果判明が遅れることも想定されます。日経平均株価が24,000円台乗せをうかがう展開となるには、少なくとも国内の中間決算で好材料が確認され、米大統領選挙を経て政局の不透明感が解消し、景気に追い風となる政策が示されることが必要と考えます。

 

(注)データは2012年1月から2020年10月。ローソク足は月足。ただし2020年10月は9日まで。上値抵抗線は2013年5月高値と2018年1月高値を結んだ線。下値支持線は2012年10月安値と2016年6月安値を結んだ線。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]日経平均株価の上昇トレンド (注)データは2012年1月から2020年10月。ローソク足は月足。ただし2020年10月は9日まで。上値抵抗線は2013年5月高値と2018年1月高値を結んだ線。下値支持線は2012年10月安値と2016年6月安値を結んだ線。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

(注)現物は東京・名古屋2市場、1部、2部と新興企業向け市場の売買代金合計。先物は日経225先物とTOPIX先物の合計。 (出所)大阪取引所、Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]海外投資家の日本株売買状況 (注)現物は東京・名古屋2市場、1部、2部と新興企業向け市場の売買代金合計。先物は日経225先物とTOPIX先物の合計。
(出所)大阪取引所、Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『23,000円台後半回復後の日経平均株価』を参照)。

 

(2020年10月12日)

 

市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
シニアストラテジスト

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフマーケットストラテジスト

旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介

調査部は、総勢25名のプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの高度な分析を行い、それぞれの見通しを策定、社内外に情報発信しています。三井住友DSアセットマネジメントの経済・金融市場分析面での中枢を担っている他、幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、活動する機会や媒体は多岐にわたります。年間で約1,000本の市場レポートを作成し、会社のホームページで公開中(2018年度実績)。

著者紹介

連載【市川雅浩・チーフマーケットストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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