本記事は、書籍『大増税時代に大損しない相続税対策』から抜粋したものです。税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

不動産の「共有」だけは絶対に避ける

ケース1

 

Bさんはすでに夫を亡くし、一次相続で財産を相続しました。Bさんには2人の子がおり、長女はBさんと同居していますが、長男は会社員で地方へ単身赴任しています。財産は、自宅と1件の賃貸マンションです。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

このような場合、Bさんは同居している長女に自宅敷地を相続させれば、小規模宅地等の特例が使えるので税金は安くなります。

 

しかし、親というのは「子には平等に相続させたい」と思うもの。相続税額だけを考えれば長女に相続させたほうが有利でも、Bさんにとってそれは机上の空論です。

 

とはいえ、財産が平等に分けられるような構成なら問題ありませんが、自宅と1件の賃貸マンションといった財産構成の場合、少し厄介です。平等にこだわると、不動産を共有にするという答えになりやすいからです。

 

しかし共有は、〝争続〞を避けるため、極力避けたい方法です。今は仲がよくても、先を見据えた場合、仲が悪くなることも十分あり得るからです。

 

そこで私は、Bさんにもう1件賃貸不動産を購入し、それぞれで1件ずつ所有させることを提案しました。Bさんはその方法を選択され、ご希望通り平等に財産を渡すことに成功しました。

 

■相続税の減額だけを目指すと、兄弟仲がこじれることも

 

ケース2

 

資産家Cさんは、相続税対策として法人化を実行し、賃貸用建物をその法人に譲渡しました。そして、その賃貸用建物からの家賃収入を3人の子に分配しています。しかし、相続が発生する前に賃貸不動産をもう2件購入し、子1人につき1件という形で相続する計画を立てています。

 

なぜこのような形にするかというと、一番下の弟が「真ん中の兄さんといつまでも一緒に法人をやりたくない」と言い出したためです。

 

このようなケースはよく見られます。最初はよくても、数年後に誰かの経済状況が悪化したり、あるいは何かのきっかけで亀裂が入ったりして、兄弟の仲がうまくいかなくなることがあるのです。

次ページ表面上は問題なかった兄弟。でも先のことを考えると…

本連載は、2013年11月27日刊行の書籍『大増税時代に大損しない相続税対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

大増税時代に大損しない 相続税対策

大増税時代に大損しない 相続税対策

北村 英寿

幻冬舎メディアコンサルティング

相続税対策を成功させるためには、実行に移してからの最終的な「出口戦略」まで考える必要があります。 「出口戦略」とは、相続税対策のために購入した賃貸不動産の最終的な顛末を考えることです。 相続発生後は、基本的にそ…

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