日本は超高齢社会を迎え、労働人口は目に見えて減少しており、年金財源の枯渇を防ぐべく、定年引き上げを実施する企業も増えています。そんな今だからこそ「貴重な人材をどのように扱うべきか」という課題を再考しなければ、企業は運営不能になってしまう可能性があります。今回は、株式会社プレジデントワン代表取締役である松久久也氏の著書『確実に利益を上げる会社は人を資産とみなす』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、日本の会社員の労働生産性が向上しない原因や、経営者がどう対処すべきかについて解説します。

どのくらいの時間を会議に費やしているのか

働くことばかりが人生ではないと国が音頭をとって労働時間を減らそうと努力した結果、年間総労働時間は順調に減少し、2013年の時点では1750時間前後となった日本。しかし、1992年に労働生産性がOECD加盟国の中で16位であったものが、2011年には21位に下がってしまいました。

 

つき合い残業、無駄な会議、社内調整業務、時代に合わない業務プロセス、IT化の遅れなど、見直すべき点が多いことが原因ではないでしょうか。

 

「無駄な会議の見直し」で、社員教育に時間を割くことができるかも(画像はイメージです/PIXTA)
まだまだ見直すべき点が多い(画像はイメージです/PIXTA)

 

NTTデータ経営研究所の調査によれば、日本の企業が会議に費やす時間は全体業務の15.1%となっています。年間総労働時間を1740時間で考えた場合、262時間となります。

 

会議を種類別に分ければ図表1の右のようになります。進捗、課題、対策、決定に関する会議が最も多く、年間104時間が費やされています。次に方針伝達・上意下達の会議が92時間と続きます。

 

 

[図表1]業務全体における会議の割合と、会議の種類別・年間時間数

 

年間262時間を月に換算しますと約22時間となります。つまり毎日1時間が会議に充てられていることになります。進捗、課題、対策、決定、方針伝達・上意下達などは企業の活動にとって重要なものばかりです。

 

しかし、「会議等の問題・課題」のグラフ(図表2)を見ていただくとわかるのですが、「無駄な会議等が多い」と感じる割合が全体の45%と、ほぼ半数が会議効率が悪いと受け止めています。

 

[図表2]会議等の問題・課題

 

おそらくコミュニケーション力、感情制御力、論理的な思考力、知識力などの不足が原因で会議をうまく運営できない企業が多いのかもしれません。

 

もし人の資産力を増やせば、会議効率が格段に上がり、現在の会議時間を大幅に減らせる可能性があるのです。人を資産として育て上げるために時間資源を見出すことができるか否かが日本企業が抱える大きな問題ですが、現在の会議に費やしている時間から捻出することは十分可能なのではないでしょうか。

 

ここで改めて整理をしておきましょう。

 

・OJTを通じた教育/年間総労働時間1740時間の中で各企業が工夫。
・OFF-JTを通じた教育/年間10時間から20時間が最も多い。
・自己啓発/労働時間外における活動。年間10時間から30時間が最も多い。
・会議/非効率な会議が年間262時間の中で行われている。

 

上記を見てみると、会議の効率を見直すことで新たな時間を獲得することはできそうです。

 

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確実に利益を上げる会社は人を資産とみなす

確実に利益を上げる会社は人を資産とみなす

松久 久也

幻冬舎メディアコンサルティング

人をコストとみるか。資産とみるか。その選択が、会社の明暗を分ける! 日本は超高齢社会を迎え、労働人口は目に見えて減少。年金財源の枯渇を防ぐべく、定年引き上げを実施する企業も増えている。今こそ「貴重な人材をどのよ…

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