業績発表の数字の良し悪しで、株価が上下に変動
業績発表や新製品開発のニュースなど、株価を上下させる原因となる事柄を、株式投資の世界では「材料」と呼んでいます。「好材料が出て、値上がり」「悪材料が出尽くして、反発」などと用いられる言葉です。
では、そんな材料にはどんなものがあり、投資家はそれをどう捉えればよいでしょうか。
まず材料として欠かせないのが、業績の発表です。
上場企業は3ヵ月に1度、決算を公表することが義務づけられています。最初の3ヵ月が「第1四半期決算」で、次の3ヵ月までの半年が「中間(第2四半期)決算」、そして「第3四半期決算」と続き、最後に1年分をまとめた「本(第4四半期)決算」となります。
そしてその都度、予想以上に業績が良かったか、悪かったか、が判明します。これが、有力な材料となるのです。
また、本決算時には、来期の業績予想も発表されます(しない企業もあり)。これも材料となりますし、一方で、年度の途中で業績予想が上方修正される場合や下方修正される場合もあります。これもまた、材料の1つとなります。
投資家は各種の数字を見て投資判断をおこないます。ですから業績発表は、とても大きな材料となります。そして、市場が予想する以上に業績が良かったり悪かったりすれば、株価も動きやすいものです。
しかし逆に、業績に応じて株価が動くのに、決算発表までは業績がわからないのですから、株価の変化を予想することの難しさもおわかりでしょう。次の四半期決算が、次の本決算がどうなるのかがわかれば、投資はものすごく簡単になるのですが、そうはいかないものなのです。
ただし、100%確実とはいかなくとも、できるだけ高い確率で未来を読み通す能力がもしあれば、株式投資で利益を上げる確率は高まるといえます。
さまざまなニュースで、株価が上下に変動
業績発表の他に、各種のニュースもまた、株価を変動させる材料となります。
新製品の開発、ヒット商品の出現、買収、経営者の交代、社内改革などといったその企業の活動自体によるものから、リーマン・ショック、新型コロナウイルスの感染拡大、他国の財政破綻による影響、政治方針による貿易の制限や開放、戦争や災害、規制緩和、円高や円安など、企業の活動外のものまでそれは様々です。
ここで興味深いのは、そういった出来事が起きたあと、まだ実体経済への影響が定かでなく、業績が発表されたわけでもないのに、株価が大きく動く場合があることです。
というのも、株式市場の参加者はみな、「今後株価が上がるか・下がるか」を予想して株を売買しているため、それらの出来事が実際の業績に現れる前、つまりニュースになった時点で、売買をするからです。そして買われるので買われ、売られるので売られて、株価が大きく動くこともあるのです。
つまり、株価は市場参加者の期待や不安によって動いている、ともいえます。そしてそれゆえに、たとえそれが結果的に重要な出来事ではなくても、ニュースは材料の1つとなるのです。