不動産には「後から変更が効かない要素」が多くある
物件を選定する際に重要なことは、「変えられるもの」と「変えられないもの」という基準でその物件の良し悪しを判断することです。
下記図表のように、物件の持つ特性を「変えられるもの」と「変えられないもの」に分類し、「変えられないもの」に関して慎重に検討していくことが重要となります。
たとえば、「この物件をもっと駅に近いところに変えよう」とか「隣の家をどかして日当たりを良くしよう」などと、物件を買った後に考えたとしても、現実的には対応することはできません。これはどんなにお金をかけても、不動産特有の変更がきかない要素なのです。
だとするならば、この「変えられないもの」がアパート事業を事業として成立させるための要素を満たしているかどうかを判断することが、物件選定の決め手となります。
たとえば、駅から遠いファミリー向けの物件で駐車場が近隣も含めて確保できなければ、アパート事業として成立する要素を満たしているとはいえません。この場合、「駐車場の確保」は、「変えられない要素」です。
物件のチェックは「変えられないもの」を基準に
一方の、「変えられるもの」はどうでしょうか。
設備の古さや外壁の色などは、後からいくらでも変えることができます。「外壁が汚いから黄色に塗り替えよう」「キッチンが古くなったからシステムキッチンを入れよう」といったことはお金の問題です。費用はかかるにしても(その費用を見込んで利回りを計算することは重要)、物件の運営において致命的なことにはなりません。
「変えられないもの」がアパート事業を行うにあたって基準を満たしているか、という観点で物件をチェックしていくとわかりやすいのです。
ただし、「変えられないもの」の判断基準は物件によって異なります。たとえば、ワンルームであれば駅から30分では成り立たないという判断になりますが、ファミリータイプで駐車場がある物件では駅からの距離は致命的にはなりません。つまり、立地という「変えられないもの」の判断が物件ごとに違うということです。