マクロ→ミクロの「2段階」で賃貸需要を検討
収益用不動産の選定において、最も重要な事項は何かと聞かれれば、筆者は迷わずに「立地」と答えます。なぜなら、立地は絶対に「変えられないもの」だからです。
建物の外観や間取りは、費用をかければ後からいくらでも変更可能です。キッチンが古ければ、新品に取り替えることもできます。その一方で、賃貸の入居者が何を基準に住居を選ぶかといえば、最も重要な判断材料が立地です。
では、どのような立地が良いかというと、これは2段階で判断するのが妥当でしょう。
1段階目はその物件が建つマクロ的なエリアの賃貸需要、2段階目は物件が建つミクロ的な点としての賃貸需要です。
たとえば、さいたま市に物件があるとすれば、「さいたま」というエリアの賃貸需要動向を見るのが1段階目です。そして2段階目は、その物件のある場所を「点」として見た場合に、賃貸需要があるのか否か、もしくはいくらで貸せるのかということを検討します。
よく、さいたま市や横浜市といったレベルで、立地が良い・悪いという方がいますが、行政単位(市、区や県単位)だけで判断してはいけません。さいたま市にも賃貸需要が高いところもあれば低いところもありますし、横浜市も札幌市も同様です。
不動産はきわめて個別性が強いものですから、その物件の立地が「点」としても良いか悪いかを判断する必要があるのです。
同じ市区町村でも場所によって大きく変わる賃貸需要
川ひとつ隔てることで、また、学区の違いなどでも賃貸需要は大きく変わってきます。
お客様から「○○市は良いのですか?」「▲▲区はあまり良くないのですよね?」といったことを訊ねられることがありますが、これは本質を捉えていない質問です。物件固有の「点」としての立地の判断が欠落してしまえば、その物件の価値を見誤ってしまうことになります。
その物件の立地が、市(もしくは区、県)の中の、さらにどのような場所に位置するのかということまでを知らなければ、怖くて買えないということになります。