つまり時代、特に経済の発展のステージによって、人生と社会を豊かで幸せにする「正解」は異なります。ある時代に正しいこととされてきた行動は、次の時代ではむしろ間違いになりうるのです。
昔の日本では「貯蓄=美徳」だったが…
それは、貯蓄、投資などの「お金を使うことによる社会参加」についても同じです。昔の日本では、倹約の意識を持ち、少しでも多くのお金を貯蓄することが美徳とされました。そして、国が国債などを通じてそのお金を使い、学校、道路や病院などの社会インフラの整備を主導することが、社会を豊かにする正しい道筋でした。
その後は、その貯金を民間銀行が企業の融資に活用し、企業が世界で戦えるように支えていくことが、世界の一流国に名を連ねるための効率的な方法でした。
つまり、過去の時代は、日本人の「貯蓄」という行動が、意識せずとも、世のなかを豊かにするために正しい役割を果たしていたということです。ただし、先ほどの「働き方」で見た「過剰な労働」と同じように、すでに先進国となった国での「過剰な貯蓄」は、世のなかを豊かにしません。
現在の貯金の利回りが非常に低い水準に留まっている事も、貯金が社会の豊かさをこれ以上増やすことが難しいことを証明しているといえるのです。
「正しい投資」は、社会をより豊かにする
先進国となった社会を豊かにする「お金を使うことによる社会参加」とはいったい何でしょうか?
それは①社会を豊かにする新しい技術やアイデアをもった人を「長期」で応援すること、そして②選挙を通じて政治家を選ぶのと同様、経済において力を持っている人(例えば大企業の経営者など)を社会全体で正しくモニタリングしていくことです。
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