配当権利落ち後の株価に注目

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●日経225先物の12月限月は現状日経平均株価よりも150円程度低い価格で取引されている。

●差異は配当に起因、12月限月は中間配当受け取り権利がない分、日経平均株価より低価格。

●明日の日経平均株価が150円程度の配当落ちを埋めて上昇すれば地合いは相応に強いとみる。

日経225先物の12月限月は現状日経平均株価よりも150円程度低い価格で取引されている

日経平均株価を原資産とする金融派生商品(デリバティブ)に、日経225先物や、日経225オプションがあります。先物やオプションは、現物と違って取引期間が決められており、取引が満期を迎える月を限月(げんげつ)と呼びます。日経225先物の限月は、3月、6月、9月、12月で、日経225オプションの限月は毎月です。各限月の第2金曜日が満期日となり、この日に算出される特別清算指数(SQ)で取引が決裁されます。

 

なお、SQ算出日の前日が、先物やオプションの取引最終日となります。例えば日経225先物の9月限月であれば、今月10日が取引最終日、11日がSQ算出日でした(図表1)。日経225先物について、9月限月の取引が終了したため、現在、取引の中心となっているのは、12月限月です。ただ、日経225先物の12月限月と日経平均株価を比較すると、12月限月の方が150円程度、低い価格で取引されていることが分かります(図表2)。

差異は配当に起因、12月限月は中間配当受け取り権利がない分、日経平均株価より低価格

日経225先物の12月限月が、日経平均株価よりも150円程度低いのは、3月期決算企業が予定している9月の中間配当に起因しています。9月は28日が中間配当の権利付き売買最終日となっており、この日までに日経平均株価を構成する中間配当予定の現物株を保有していれば、中間配当を受け取る権利が得られます(図表1)。しかしながら、日経225先物の12月限月を保有していても、中間配当を受け取る権利は得られません。

 

したがって、日経225先物の12月限月は、中間配当を受け取る権利がない分、日経平均株価よりも投資面での魅力が劣ることになります。なお、日経平均株価について、今年の中間決算における予想配当金は150円程度です。そのため、日経225先物の12月限月については、予想配当金である150円程度が理論値に反映され、日経平均株価よりも低い価格となります。

明日の日経平均株価が150円程度の配当落ちを埋めて上昇すれば地合いは相応に強いとみる

前述の通り、今回は9月28日が中間配当の権利付き売買最終日です。そして、その翌日である29日が権利落ち日、30日が権利確定日となります。権利落ち日以降は、権利確定日を待たずに現物株を売却しても、配当を受け取ることができます。一般に、権利付き売買最終日までは、投資家による配当狙いの買いや、配当で受け取る金額を見越してあらかじめ先物を買っておく動きが活発化し、株価は底堅く推移する傾向があります。

 

そのため、注目は権利落ち日である9月29日の日経平均株価の動向です。日経平均株価は、中間配当要因の消滅(配当落ち)で、理論上、12月限月の価格に近づきます。同日の日経平均株価が、予想配当金である150円程度を超えて大きく下落すれば、これまでの底堅い動きは配当狙いの一時的なものと考えられる一方、配当落ち分を埋めることができれば、相場の地合いは相応に強いと考えられます。

 

(出所)各種資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]先物や中間配当に関する9月スケジュール (出所)各種資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

(注)データは2020年9月25日の9:00から11:30および12:30から15:00。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]日経225先物と日経平均株価の推移 (注)データは2020年9月25日の9:00から11:30および12:30から15:00。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『配当権利落ち後の株価に注目』を参照)。

 

(2020年9月28日)

 

市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
シニアストラテジスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 シニアストラテジスト

旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介


調査部は、総勢25名のプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの高度な分析を行い、それぞれの見通しを策定、社内外に情報発信しています。三井住友DSアセットマネジメントの経済・金融市場分析面での中枢を担っている他、幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、活動する機会や媒体は多岐にわたります。年間で約1,000本の市場レポートを作成し、会社のホームページで公開中(2018年度実績)。

著者紹介

連載【市川雅浩・シニア ストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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