離婚後、親権を持たない親にとって、面会交流は子どもと接触できる貴重な機会です。しかし、調停や裁判で面会頻度を設定していても「約束が守られず我が子に会えない」という悩みを抱えている方は少なくありません。今回は、実例をもとに面会交流の強制執行や、事前に取り決めておくべき事柄について解説します。

 

二つの事案を見比べるとわかるように、面会交流の間接強制が認められなかった事案の方は、各回の面会交流時間の長さについて

 

「半日程度(原則として午前11時から午後5時まで)」としつつも、「最初は1時間程度から始めることとし、長男の様子を見ながら徐々に時間を延ばすこととする。」

 

としたり

 

「面接交渉の具体的な日時、場所、方法等は、子の福祉に慎重に配慮して、抗告人と相手方間で協議して定める。」

 

とするなど、条件について協議する余地を残しており具体的に定めずに曖昧さを残していたことが、結論を分けたものといえます。

 

調停の場や裁判では、子どものことに配慮して、あまり面会の条件をガチガチに決めずに、双方親どうしで柔軟に対処できるように「協議する」といった曖昧な決め方をすることも多かったのですが、この最高裁の登場により、今後は、面会交流の条件もガチガチに固めなければならないと思われます。

 

因みにこの最高裁は

 

「子の利益が最も優先して考慮されるべきであり(民法766条1項参照)、面会交流は、柔軟に対応することができる条項に基づき、監護親と非監護親の協力の下で実施されることが望ましい」

 

とも述べていますが、何とも理想と現実のような皮肉にも聞こえます。

 

 

※本記事は、北村亮典氏監修「相続・離婚法律相談」掲載の記事を転載・再作成したものです。

 

 

北村 亮典

こすぎ法律事務所 弁護士

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧