新型コロナウイルスが、不動産投資に与える影響
2020年、新型コロナウイルスの感染拡大。行動が制限され、経済に大きな影響を与えるなか、不動産への影響は少ないとされてきました。なぜなら「不動産は景気変動に強い」というのが定説だったからです。
しかし、新築分譲マンションの販売が大きく落ち込んだり、価格も下落傾向になったりと影響が出始めると、「今回の危機は、通常通りにはいかないのではないか」という不安も漂い始めました。
コロナ危機と比較されることが多いのがリーマンショックですが、当時、不動産価格は1年で約20%ほど下落しました。また今回、東証REIT指数が2~3月に大暴落したのち、いまだコロナ禍前の6~7割程度にしか回復をしていません。これらのことを根拠に、コロナショックでは、さらに大きな下落があるのでは、という不安が渦巻いています。
ではマンションやアパートの投資用不動産への影響はどうでしょうか。オーナーとしては家賃の下落が気になるところですが、いまのところ、大きな影響はでていません。オフィスの場合、需要が大きく落ち込み家賃の大幅に下落するケースがありますが、住宅の場合、需要に大きな変化はないからです。今後も低金利が続いていくことが想定されているので、コロナ禍によって投資用不動産の価格が大きく下落するリスクは低いといわれています。
23区の中古マンション取引件数…コロナ禍の影響をみる
投資用不動産のコロナ禍の影響は、どれほどのものなのでしょうか。東京23区を例に、中古マンションの取引実績の推移をみていきましょう。
国土交通省 「土地情報総合システム」によると、2016年第1四半期(1~3月)からコロナ禍で緊急事態宣言が出される直前の2020年第1四半期(1~3月)に、中古マンション55,671件の取引きがありました。
コロナ禍の影響がなかった2019年第4四半期、コロナ禍の影響が出始めた2020年第1四半期を比較すると、20の区で取引件数を減らし、「千代田区」(36件→44件)、「台東区」(122件→133件)、「北区」(72件→77件)の3区だけが取引件数を増やしました。また「江東区」(-94件)、「大田区」(-90件)、「港区」(-72件)の3区が、大きく取引件数を減らしています。