「駆除すべき対象としてしか見ていなかった生き物に対して、ネズミさんたちと呼びたくなるほどに親しみを感じている」「解き明かして得たネズミさんたちの習性が、今後のドブネズミ駆除に役立つのであれば、私にとってこれ以上喜ばしいことはない」――ネズミ捕獲のプロ・山﨑收一氏は書籍『捕獲具開発と驚くべきネズミの習性』(幻冬舎MC)で、そう語っています。

家族に対してひどい仕打ちをするのと同じではないか?

数日後には捕獲されて殺されるかもしれないのに頼りにして待っている。定期的に給料を運んでくれるお父さんが家族に対して急にひどい仕打ちをするのと同じではないか? 捕獲したネズミを間近で観察する機会が増えていたこともあり、少し後ろめたさを感じた。

 

12月29日の点検後正月休みに入ったので、ロックモードに切り替えて捕獲する日を1月6日に予定し、それぞれの捕獲具にはパンの小片を30個入れた。

 

1月6日、全ての捕獲具をロックモードに切り替えてパンを補充した。すぐに集まって来ると思っていたので、設置後45分毎に経過観察を行った。

 

真っ先に捕獲が確認されたのは、巣近くに設置した7箱で、4箱と3箱を2段に積み上げたうちの右上の箱に、捕獲したネズミのうち最も軽い個体(75g)が入っていてこちらの方をじっと見ていた[写真2]。暴れている様子はない。

 

[写真2]
[写真2]

 

巣から最も近いのは右下の箱である。一番初めに来たのだから、巣から最も近い右下の箱に入れば良いのに何故わざわざ上の箱に入ったのであろう? これも不思議である。

 

餌付け期間が長かったので、個々のネズミの入る箱が決まっていたことも考えられた。その後時間が経過しても捕獲が認められないので、捕まったネズミはそのままにして翌日の朝に回収する事にした。捕まったネズミがおとなしくしていたので、捕獲具の危険性が他のネズミに伝わらないと思ったからだ。

 

前回パンを補充してから1週間経過していたので、食べつくした後、待っていても来ない定期便を諦めてほかの場所で餌を採るようになっていたのだろう。

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捕獲具開発と驚くべきネズミの習性

捕獲具開発と驚くべきネズミの習性

山﨑 收一

幻冬舎メディアコンサルティング

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