「駆除すべき対象としてしか見ていなかった生き物に対して、ネズミさんたちと呼びたくなるほどに親しみを感じている」「解き明かして得たネズミさんたちの習性が、今後のドブネズミ駆除に役立つのであれば、私にとってこれ以上喜ばしいことはない」――ネズミ捕獲のプロ・山﨑收一氏は書籍『捕獲具開発と驚くべきネズミの習性』(幻冬舎MC)で、そう語っています。

ドブネズミは一夫一妻…仲が良かったのかもしれない

予想以上に少ない結果となった。近接する建物から十分離れているので、捕獲された個体群は餌場を共有する1つの集団であるといえる。

 

毒餌を用いて駆除した場合ではすべての死体を集めて確認することはできない。今回使用したような捕獲具が今までになかったのだから、このような捕獲例の報告は初めてだと思っている。

 

この集団の構成から、親2頭と2~3回の出産で生まれた数匹の子からなる集団だと考えて良いと思っている。すると、ドブネズミは一夫一妻ということになり、共に店舗外の近い場所で捕獲されたのだから、親たちは一緒に行動していて仲が良かったのかもし れない。

 

後で触れることになるハツカネズミとは大違いである。

 

親子であることが証明されていないのだからそんなことはいえないだろうとどこかで声がするようだが、野生生物を観察する際にDNAの親子鑑定が重要だと主張する人はいない。

 

そして、長期にわたって野生家ネズミの行動観察を行うことは困難極まりない。このような捕獲具が今までになかったのだから、野外で行った世界初の観察例と言って良いだろう。

 

限られたエリアに生息する集団のほとんどを捕獲することができるのであれば、捕獲してその構成を調べることで集団の成り立ちを推測することは充分可能だと思っている。

 

クマネズミでも同じように餌付けをした後に、餌場を共有する集団をほとんど捕獲できるのであれば、これはすごいことになると思った。

 

大儲けに一歩近づいたという認識である。

 

 

続く…

 

本記事は連載『捕獲具開発と驚くべきネズミの習性』を再編集したものです。

捕獲具開発と驚くべきネズミの習性

捕獲具開発と驚くべきネズミの習性

山﨑 收一

幻冬舎メディアコンサルティング

ネズミにも感情がある!? 古くから人は、ネズミを捕獲するためにさまざまな仕掛けを考案してきた。しかしながらクマネズミだけは、そのいずれをもってしてもほとんど捕まえることができずにいる。それは何故なのか。新たな捕…

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