相続トラブルでよくある「介護負担の不公平」
現在、日本では年間130万人ほどが亡くなっていますが、国税庁によると、そのうち相続税が発生するのが、11万件ほど。約8件に1件の割合で相続税が課税されています。また1人当たりの相続人の数は、2017年で2.81人。1人の被相続人に対し3人の相続人がいることになります。
相続で争いが絶えないことは想像にたやすいことですが、その争いにはいくつか「起きやすいパターン」があり、その1つが介護に絡むものです。
「わたしだけお父さん(お母さん)を介護したのに、もらえるのはこれだけ?」
と介護負担に対する不満であったり
「あんなに介護をしてきたのに、1円ももらえないなんて……」
と法定相続人ではない人の介護負担が大きかった場合、相続トラブルに発展しやすいのです。「まだまだ介護を受ける年齢じゃない」という元気な現役世代であっても、親の介護は身近な問題。介護は、意外と多くの人にとって身近な問題だといえます。
75歳を超えると「要介護」が増えていく
現在の介護保険制度では、40歳以上の人が要介護・要支援になった場合、その度合いに応じて国の介護保険サービスが利用できます。介護度は要介護1~5、要支援1~2の計7段階。介護保険サービスを利用した場合、利用者の自己負担は原則サービス料の1割です(一定以上の所得がある場合は、所得額に応じて2~3割負担)。
厚生労働省の「介護保険事業状況報告」(2017年度)によると、要介護、または要支援の認定を受けた人は、628.2万人(図表1)。年齢別に要支援、要介護の認定を受けた人の割合をみると、要支援の認定を受けた人は65~74歳で1.3%、75歳以上で8.6%、要介護の認定を受けた人は65~74歳で2.9%、75歳以上で23.3%となっていて、75歳を超えると要介護の割合が上昇します。
介護が必要になった主な原因は「認知症」が最も多く、18.7%。「脳血管疾患(脳卒中)」15.1%、「高齢による衰弱」13.8%、「骨折・転倒」12.5%と続きます。また男性は「脳血管疾患(脳卒中)」、女性は「認知症」が多い傾向にあります。