日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は、「高齢者の健康」についてみていきます。

伸び続ける平均寿命…日本で最も長生きなのは?

平均寿命から、日常的・継続的に医療や介護に依存して生きる期間を除いた「健康寿命」。ずいぶんと浸透した感がありますが、この概念が登場したのは2000年。WHO(世界保健機関)が初めて提唱しました。

 

直近の健康寿命としては、2016年、厚生労働省によるものが公表されていて、男性が72.14年、女性が74.79年。当時の日本人の平均寿命は男性が80.98年、女性87.14年。つまり日常的に医療や介護に依存するようになって、男性は8.84年、女性にいたっては12.35年も生きることを意味します。

 

いつまでも健康で長生きしたいもの(※画像はイメージです/PIXTA)
いつまでも健康で長生きしたいもの(※画像はイメージです/PIXTA)

 

寿命に対して健康寿命の割合が高くなるほど、結果的に医療費や介護費の削減に結びつきます。少子高齢化が進行している日本で、政府が「健康増進!」と躍起になっているのは、逼迫する国の財政状況によるところが大きいといえます。

 

また男女によって平均寿命に7歳近くの差があるように、地域によっても違いがあります。厚生労働省による都道府県別生命表(2015年)で都道府県別にみていくと、男性で最も平均寿命が長いのが「滋賀県」で81.78歳。「長野県」81.75歳、「京都府」81.40歳、「奈良県」81.36歳、「神奈川県」81.32歳、と続きます(図表1)

 

出所:厚生労働省「都道府県別生命表(2015年)」
[図表1]都道府県別、男性の平均寿命上位10 出所:厚生労働省「都道府県別生命表(2015年)」

 

一方、女性で最も平均寿命が長いのが「長野県」で87.675歳。「岡山県」87.673歳、「島根県」87.64歳、「滋賀県」87.57歳、「福井県」87.54歳と続きます(図表2)。男性でも女性でも上位にランキングされている「長野県」や「滋賀県」は、“長寿県”といっていいでしょう。

 

出所:厚生労働省「都道府県別生命表(2015年)」
[図表2]都道府県別、女性の平均寿命上位10 出所:厚生労働省「都道府県別生命表(2015年)」

 

ちなみに高度な医療が受けられる、首都・東京は、男性で11位で81.07歳、女性は15位でで87.26歳。平均以上ではありますが、インフラが揃っている大都市圏のほうが長生きできるわけではないところが、おもしろいところです。

 

また平均寿命の男女差が最も大きいのが「青森県」で、その差7.27歳。「沖縄県」7.17歳、「鳥取県」7.10歳、「秋田県」7.10歳、「島根県」6.86歳と続きます(図表3)。一方で差が小さいのが「愛知県」で5.76歳、「滋賀県」5.79歳、「岐阜県」5.82歳、「埼玉県」5.85歳、「奈良県」5.89歳と続きます。

 

出所:厚生労働省「都道府県別生命表(2015年)」
[図表3]都道府県別、平均寿命男女差 出所:厚生労働省「都道府県別生命表(2015年)」

 

次ページ長野県が“長寿県”でいられるのは、なぜ?

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