介護サービスは大きく、訪問介護やデイサービス、デイケア、ショートステイなどの「居宅サービス」と、介護老人福祉施設や介護老人保健施設、介護療養型医療施設などの施設に入所して利用する「施設サービス」に分けられます。居宅サービスの場合は、利用限度額は介護度によって決められています(図表2)。また、施設サービスの場合は、個別か相部屋かなどで自己負担額が異なります(図表3)。
内閣府の「高齢者の健康に関する調査」で55歳以上の人に介護費用をどのように払うかたずねたところ、「年金などの収入でまかなう」と考えている人が最も多く、63.7%。「貯蓄でまかなう」が20.5%、「収入や貯蓄ではまかなえないが、資産を売却するなどして自分でまかなう」が4.0%、「子などの家族・親戚からの経済的な援助を受けることになると思う」が3.2%。介護費用は「公的年金頼り」という人が多いようです。
統計調査からみえてきた「介護負担の大きい高齢の妻」
介護負担についての意識をみていくと、男女差が明確になっていきます。
前出の内閣府の調査で、「介護を頼みたい人」をたずねたところ、男性の場合は6割近くが「配偶者」と回答したのに対し、女性の場合は「ヘルパーなど介護サービスの人」が4割近くになり、「配偶者」と答えたのは2割にとどまります。
また要介護になった際、どこで介護を受けたいかの問いに対して、男女ともに「家族に依存せずに生活ができるような介護サービスがあれば自宅で介護を受けたい」の回答がトップですが、男性の場合、「自宅で家族中心に介護を受けたい」の回答は24.0%と、女性よりも10ポイント近く高くなっています。
さらに厚生労働省「国民生活基礎調査」によると、介護者の続柄で最も多いのが「同居している人」で、配偶者が25.2%、子が21.8%、子の配偶者が9.7%。男女でみると、男性が34.0%、女性が66.0%となっています。
これらの結果をみていくと、「妻に依存する夫」「介護負担の大きい妻」という画がみえてきます。