新宿至近で、単身者からの支持が厚い
■中野坂上の人口構造
国勢調査を中心に、中野坂上エリアの人口構造をみていきます。
「中野坂上」のある中野区の人口は32万人強。世代別では、15〜64歳の労働生産人口が7割を超える一方、子どもや高齢者の少ない自治体です。中野坂上エリアでは15~64歳の割合がさらに高くなり72%強。現役世代の多いエリアであることがわかります(図表1)。
世帯の状況をみていくと、中野区は23区平均と比べて、1世帯当たりの人数が1.66人と少なく、単身者世帯率も23区平均を10ポイント以上も上回る61%。中野坂上エリアではその傾向がさらに強まります。一方で65歳以上の単身高齢者世帯は、中野区では23区平均とほぼ同等、中野坂上エリアではさらに下回ります。世帯の状況からも、中野坂上エリアは、現役世代の単身者が主体であることがわかります(図表2)。
このような状況から、中野区、及び中野坂上エリアでは持ち家率が低く、30%前半。23区平均を15ポイント近く下回ります(図表3)。また5年定着率も中野坂上エリアでは4割強と、5人に3人は5年以内に転居するという状況。賃貸が優勢なエリアなので、不動産オーナーにとっては有力な候補エリアといえるでしょう(図表4)。
■不動産マーケットの状況
中野坂上エリアの家賃相場をみていきます。駅徒歩10分の1Kの平均家賃は7.73万円、11分を超えると9.40万円と、駅距離による逆転現象が起きているエリアです。業務地区である駅近の物件は専有面積の狭い物件が主流ですが、駅から離れると専有面積が広く今どきの入居者ニーズを捉えた物件が増える傾向にあります。新宿まで5分という立地のため、多少駅から離れても物件にこだわりたい、というニーズが高く、駅距離よりも物件力が問われるエリアだといえます(図表5)。
次に中古マンションの取引価格をみていくと、中野区平均と中野坂上エリアはほぼ同等で、1平米当たり83万円。東京都の平均を8万円ほど上回っています(図表6)。
過去5年間の中野坂上エリアの中古マンションの取引件数をみていくと、四半期平均13件の取引きがされています。コロナ禍の影響が出始めた2019年第4四半期では、5年間のなかで最高値の20件の取引きがありましたが、2020年第1四半期では10件の取引きに留まっています。これが直前の取引きの反動によるものなのか、それともコロナ禍の影響によるものなのか、今後に注目です(図表7)。