「不整形地」の形を生かす設計ができる業者を選ぶ
通常の場合に比べ、格安で手に入れられる土地の代表例としては、まず「不整形地」があります。不整形地とは、正方形や長方形などの整形地ではなく、三角形や台形など特殊な形をした土地のことです。
不整形地は、「建物の敷地として利用しにくい」と考えられており、一般的に、同エリア、同面積の整形地に比べて、取引価格が低くなる傾向が見られます。ことに大手不動産業者は、不整形地を扱うことを敬遠しがちです。
大手不動産メーカーによって建てられる規格品のマンションをご覧になればおわかりのように、その多くは箱型をしています。このような四角い形の建物は不整形地には建てづらいですし、無理に建てると土地に無駄な空きができてしまいます。つまり、土地活用の面において、非効率であるとみなされているのです。
しかし逆にいえば、箱形の形状にこだわらず、不整形地のパフォーマンスを最大限に引き出せるプランを実現できれば、土地の取得コストが低い分、利回りは非常に高くなるはずです。
ただし、不整形地の形を生かした巧みな設計のできる業者は限られています。したがって、そのような業者を選ぶことも重要なポイントとなるでしょう。
価格が安く、プライバシーも守られる「旗竿地」
不整形地の一種ともいえますが、旗のような形状をしており、細い路地によって道路と接している「路地状敷地」(旗竿地)も格安で購入できるお買い得な物件です。
旗竿地には、東京都などでは基本的に共同住宅を建てることができないので、マンションなどの集合住宅を建てる場合、選択肢は原則として長屋に限られます。
規制の関係から、長屋では4階、5階を設けることは難しく、せいぜい3階までしかフロアを確保することができません。そのため、容積率が使い切れず、収益的に見合わないという理由から売れ残る傾向が見られます。その結果、近隣の同じ条件の土地に比べると、価格が安くなるわけです。
もっとも、旗竿地に対する考え方は、地域によって大きく異なります。たとえば、同様の形をしていても、東京の目黒区では旗竿地とみなされず、そのため共同住宅を建てることが可能な場合でも、渋谷区ではまったく逆の解釈になることがあります。
そこで、この例の場合、目黒区で旗竿地を入手できれば、購入費用を安く抑えつつ、共同住宅型のマンションと同様の収益を期待することができます。
また、長屋しか建てられない場合でも、そこから最大限のパフォーマンスを引き出すプランを考案できる業者を選べば、やはり共同住宅型のマンションと遜色がない利回りを実現することができるでしょう。
さらに、入居者側の視点からいうと、旗竿地は、路地の奥にあることから、プライバシーが守られやすいというメリットもあり、かえって好まれる可能性もあります。
なお、「旗竿地は将来、売るときに買いたたかれるのではないか」と心配する人がいるかもしれませんが、更地ではなく、マンションのような上物が建っている状態の場合、空室率が低いなど事業性が高ければ、利回りのよさが評価され、高額での売却を十分に期待できるはずです。
[図表]世田谷・目黒・渋谷区の土地は高い?