単身の賃貸派が多数、物件力が問われるエリア
■幡ヶ谷の人口構造
国勢調査を中心に、幡ヶ谷エリアの人口構造をみていきます。
「幡ヶ谷」のある渋谷区の人口は22万人強。世代別では、15〜64歳の労働生産人口が多く、子どもや高齢者の少ない自治体です。一方で幡ヶ谷エリアは渋谷区と同じ、働き盛り世代が多いエリアであることがわかります(図表1)。
世帯の状況をみていきます。渋谷区は単身者世帯が多く、東京23区平均の50%を10ポイント以上も上回る62%。幡ヶ谷エリアも同様で、6割を超えます。また渋谷区の高齢単身者世帯の比率は、ほぼ23区平均と同程度ですが、幡ヶ谷エリアでは23区平均を1ポイント以上も上回ります。高齢化が進むエリアという評価もできますし、新宿近接で交通利便性、生活利便性ともに高いという特徴から、高齢単身者でも暮らしやすい、という評価もできます(図表2)。
持ち家率/賃貸率をみていきます。渋谷区は23区のなかでも賃貸派が優勢なエリアで、持ち家率は23区の平均を下回る42%。幡ヶ谷エリアはさらに40%を下回る37%。賃貸の一人暮らしが多いエリアです。単身者をターゲットにした物件が豊富で、不動産投資家にとってもターゲットにしやすいエリアだといえるでしょう(図表3)。
このような人口構造、世帯状況により、渋谷区の5年定着率は、23区平均を下回る41%。5人に3人は5年以内に転居するという環境です。幡ヶ谷エリアも23区平均を5ポイント以上も下回ります。住民が流動的ということは、不動産投資家にとって空室対策がより重要になるエリアと捉えることができるでしょう(図表4)。
■不動産マーケットの状況
幡ヶ谷エリアの家賃相場をみていきます。駅徒歩10分の1Kの平均家賃は7.43万円、11分を超えると9.58万円と、駅距離による逆転現象が起きているエリアです。駅近よりも駅から離れた住宅街のほうが、専有面積は広く、築年数も浅い物件が多く、このような現象が起きています。駅から離れても物件にこだわりたいというニーズが高く、駅距離よりも物件力が問われるエリアだといえます(図表5)。
中古マンションの1平米あたりの取引金額をみていくと、渋谷区は東京都の平均を大きく上回る121万円/㎡。23区でも地価の高いエリアだけに、納得の価格です。幡ヶ谷周辺は区の平均と比べると40万円近くも安い81万円/㎡。渋谷区という立地ながら、リーズナブルなエリアです(図表6)。
この5年間の中古マンションの四半期ごとの取引件数は、平均12件。季節により上下しますが、幡ヶ谷エリアは安定した取引件数を誇るマーケットです。新型コロナによる自粛前の2019年第4四半期には22件を記録する一方、そのあとの2020年第1四半期は平均以下の9件にとどまりました。今後、コロナ禍の影響がどれほどか、2020年第2四半期以降の状況が気になるところです(図表7)。
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