2025年には、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になります。30~50歳の子どもたちが直面する「親の介護」問題は、深刻化していく一方です。本記事では、地域福祉の発展に貢献する社会福祉法人洗心福祉会の理事長・山田俊郎氏の書籍『利用者満足度100%を実現する 介護サービス実践マニュアル』(幻冬舎MC)より一部を抜粋して解説します。

「緊急時でも救急車は呼ばない」Oさんの最期は…

その後、嚥下力やADLの低下により、胃ろう増設手術のために入院し、退院後は本人の意思をできる限り尊重するというケアプランで、食事は水分摂取を継続、排泄は尿器を使用し、排便時はリフトいすを使用してトイレに誘導しました。

 

※Activities of Daily Living・・・着替え、食事、排泄等日常生活を行う基本的な動作

 

また、家族や利用者の意向を最初に確認し、「緊急時でも救急車は呼ばない、何かあったらまず家族に連絡をする」と、緊急時の対処法をきちんと決めておきました。

 

◆声なき声を読み取る力を養う

 

ALSの患者は、言葉がうまく話せず、身振り手振りもできないため、意思の疎通をはかることが困難です。そこで、介護職員が「あ、い、う……」と一音ずつ声に出し、あてはまる音のときに利用者にアイコンタクトをしてもらいます。同じことを繰り返し、一文字ずつ単語を読みとっていくのです。

 

また、筋肉が弛緩しているため、身体のケアについては注意点もありました。たとえば、体位変換や移乗時には頭から足先までの全身バランスが崩れないよう、頸椎をしっかりと支えて細心の注意を払って介助をします。誤嚥も起こしやすいので水分摂取の際は頭の角度や姿勢を慎重に保ちました。さらには、最後まで自分で排泄の意思はあったので、可能な限りトイレ誘導を行いました。

 

また、訪問時の急変は大いにあり得るため、医師や看護師との連携はもちろん、常に電話や訪問時、モニタリングなどで状況報告と共有、意見交換を続けました。

 

Oさんの最期は、突然でした。呼吸困難に陥ったため、まず家族を呼んで、ホットラインで他のホームヘルパーや看護師に連絡をして、心臓マッサージを繰り返しました。しかし救急車は呼ばないという希望があったので、延命治療はせず、そのままOさんは息を引き取りました。

 

Oさんの在宅介護を経て、チームワークの大切さ、利用者への観察力と希望や気持ちを汲み取る想像力などさまざまなことを学びました。高齢の利用者の中には、自分の思いをなかなかお話ししてくれなかったり、こだわりの強い方、認知症などで意思の疎通がはかれない方などがいます。そういった方々に対しても、表情を読み取ったり、何を求めているかを想像したりすることが大切なのです。

利用者満足度100%を実現する 介護サービス実践マニュアル

利用者満足度100%を実現する 介護サービス実践マニュアル

山田 俊郎

幻冬舎メディアコンサルティング

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