投資家には管理会社の見極めが求められる
建物の修繕も、その実際の頻度や実施内容を見れば割高と思えるような設定をしている管理会社はいくつもありますが、訴訟にまで発展しているということは、おそらくオーナーからの度重なる修繕要求にもレオパレス21側が応じなかったのでしょう。
もし、これらすべてが真実であるとするなら、レオパレス21は投資家が関わってはいけない悪徳業者の一つであると言わざるを得ません。
そして管理面での訴訟は、他の管理会社でも同様に起こり得ることです。
■管理業務は「PM」と「BM」に分かれる
では、そもそも管理会社とは、どのような会社なのか。
一口に管理会社といっても、不動産賃貸管理を専門に行う会社から賃貸仲介業(客付け)と管理をセットにしている会社、売買仲介から管理までをトータルで手掛ける会社、建設会社の賃貸部門まで、立ち位置はさまざまです。その規模感も幅広く、全国CMを流して名が知られている大手から、町の不動産屋さんが個人で営むようなものまであります。
管理業務は、大きく分けるとPM(プロパティマネジメント)とBM(ビルディングマネジメント)に分かれます。
PMの業務は、主にソフト面から物件の維持管理を行うことであり、具体的には、空室の募集、案内活動といった仲介業務のほか、契約締結業務、賃料の回収、滞納督促、トラブル時の対応、工事発注や管理、オーナーへの報告などがあります。さらに、オーナーの資産全体を対象として、不動産資産活用のコンサルティング、法務サポート、税務アドバイスなど不動産に付随したサービスを提供しているケースもあります。
一方のBMは、ハード面からの維持管理を指し、物件の清掃や設備の管理・点検、巡回見回り、保守管理、警備業務、防災消防管理、植栽管理、美観管理などの業務が主体です。PMとBMの最も大きな違いは、収益の最大化に対する姿勢にあります。PMを業務とするほとんどの会社は、管理物件が生み出す収益と連動して報酬を受け取る契約になっており、必然的に収益を最大化すべく努力します。
BMを業務とする会社は、清掃や巡回など、契約書に定められた業務を固定費で請け負うことが基本であり、例えば賃貸物件が満室であろうがなかろうが、報酬には関与しません。一般的には、PMを行う会社が管理において主導的な立場となり、下請け会社としてBMに発注することが多いです。
※本記事は書籍『不動産投資業者のリアル』を抜粋したものです。
藤本 好二
ウィステリア・グループ株式会社
会長兼代表取締役社長