※写真はイメージです/PIXTA

賃貸アパートの施工不良発覚から2年。昨年度の補修完了を目指すとしていたが、レオパレス21の改修工事は終わらない。業績も悪化の一途をたどっており、不動産オーナーからは心痛極まった声が上がっている。本件の構造的問題は何だったのか。ウィステリア・グループ株式会社の代表である藤本好二氏が書籍『不動産投資業者のリアル』(幻冬舎MC)で指摘しているのは…。

「30年一括借り上げ」でも利益を上げていたカラクリは

なお、発覚の経緯については、2018年3月29日と4月17日に、オーナー2人から、「行政が発行した確認通知書の内容と実際の建物に相違がある」と指摘を受け、調査を開始したと説明しています。184棟を確認した結果、168棟に違いが見つかったといいます。

 

そうした手抜き工事が示すのは、利益の水増しです。建設費を少しでも安く抑えれば、それは事業者の利益となります。

 

レオパレス21ブランドのアパートはどれもほぼ同じ仕様であり、同じ規格で大量に発注することで建設コストを安く抑えることができたはずです。それに加えて手抜き工事を行った上、相場より割高で販売するとしたら、通常で同様のアパートを建設するのに比べ2倍の利益が出てもおかしくありません。

 

建設時にそれだけ稼げれば、その一部を「30年一括借り上げ」の初期費用に回しても、十分に利益が出るわけです。逆から見れば、オーナーは自分が払ったお金の一部の返金を受けているだけともいえます。そしてそこから断続的に家賃を下げたり、契約解除を行ったりすれば、利益を確定できます。

 

また、レオパレス21は自らのアパートの仲介も行っていたわけですから、建設地における賃貸需要も当然、分かっているはずです。それにもかかわらず近隣に何棟もの自社アパートを建設し、それらが競合するのを承知の上で数年で家賃の減額や借り上げ解除を迫るというのは、あらかじめスキームとして計画されたと疑われても仕方ありません。

 

その他に、管理面のトラブルもあります。2017年8月、静岡、岐阜、愛知などにアパートを所有するオーナー29人が、「レオパレス21が契約通りに修繕を行っていない」として、修繕契約の無効および支払った修繕費計1億4700万円の返却を求める訴訟を起こしています。

 

このオーナーたちは、レオパレス21と一括借り上げの契約を結んだ上、別途締結した修繕契約に基づいて、月々10万円ほどの修繕費を賃料から差し引くかたちで支払っていました。

 

訴えによれば、屋根の塗り替えなど一定期間で行うべき修繕がほとんど行われていなかったといいます。

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不動産投資業者のリアル

不動産投資業者のリアル

藤本 好二

幻冬舎メディアコンサルティング

「かぼちゃの馬車」事件で不動産投資ブーム、終結。 新築1R業者、客付仲介会社、管理会社、買取販売会社。ブームの陰で暗躍していた「極悪な業者」の実態を大暴露。

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