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交通事故は起きなかった「あおり運転」どう処罰?
「走行中の自動車の直前に進入又は著しく接近」「高速での運転」という2つの要件を満たす必要があるので、なかなか成立しにくい犯罪ではあります。
本事例においては、運転そのものから被害が生じたわけではなく、いったん停車したあとにほかの自動車の衝突を受けた点に問題が生じます。
本事例と同様の事例において、被害者が後続の自動車に轢かれ死亡した件の第1審の横浜地方裁判所では、「4回にわたって進路妨害を繰り返し被害車両を停車させた一連の行為」が「被害者の死亡と因果関係がある」ことから、危険運転致死罪を成立させました。
しかし、この件は今でも裁判で争われています。このことから、本事例も同様に、危険運転致傷罪が成立するかどうかが争点となるでしょう。
民事の賠償請求も、あおり運転男が停車させた行為により本交通事故が起きたといえるかの「因果関係」が問題となりそうです。
交通事故に至らないあおり運転に関しては、これまで、道路交通法の車間距離不保持(一般道だと5万円以下の罰金、高速道路だと3ヵ月以下の懲役又は5万円以下の罰金)、暴行罪(刑法208条。2年以下の懲役又は30万円以下の罰金等)等の実態に合わない法律で処罰せざるを得ませんでした。
「暴行」というと、相手に攻撃が加わらないと成立しないように一見思いますが、実は暴行罪は、相手に怪我をさせた場合の傷害罪と違い、相手に「有形力を行使」し、相手が怪我をしなかった場合にも成立します。たとえば、相手に灰皿を投げ、当たらなかった場合でも暴行罪が成立するのです。
しかし、あおり運転による悪質な事案が増えたことにより、本年の6月に道路交通法が改正され、「妨害運転」を処罰するようになりました。
上述の車間距離不保持や急ブレーキ、執拗なクラクションやパッシング等でほかの車両の通行を妨げた場合等には、10の行為類型について、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金という重い罪が科されるようになりました(道路交通法第107条の2の2)。
また、これによって高速道路で相手を停車させる等の危険を生じさせた場合、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金です(同法第107条の2の6号)。
さらに、これらの罪では一発で免許取消となります。
4 最後に
あおり運転は、以前から頻発していたのでしょうが、その悪質さが取り上げられようになり厳罰化となりました。
今後は自動運転が浸透していき、交通問題自体が起きにくくなることが予想されるので、このあおり運転については、交通問題の終末期的な問題の一つといえるでしょう。
櫻井 俊宏
弁護士法人アズバーズ代表
中央大学法実務カウンセル
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