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病床においても鬼気迫る形相で社長を一喝
「世の中に、良い会社とか悪い会社なんてない。あるのは、良い社長か悪い社長だけである。会社は社長次第でどうにでもなるんだ」と断言した。
この一言こそ、“社長の教祖”の異名を持つ一倉定(いちくらさだむ)の信念だった。
「事業経営とは何であるか?」を探求し続け、社長に「正しい姿勢」「正しい経営のあり方」を説くことだけに専念した。そして、1999(平成11)年3月に亡くなる直前、病床においてさえも鬼気迫る形相で社長を叱り飛ばしていた。
最期は教え子であるT社長の運営する施設に入られたのだが、社長の計らいで富士山を望める特別室が用意された。
しかし、部屋に入るや否や「社長を呼んで来い!」と一喝。
「君は富士山が綺麗に見えると言ったが、いったいどこに見えるんだ!」
確かに窓からは雄大な富士山が正面に見えてはいるが、ベッドに横になると壁と青い空しか視界に入ってこないのである。
「君はこのベッドに寝たことがないだろう」
「一晩も泊まったことはないはずだ」
あれほど、「お客様の立場になって」「お客様第一主義」と教え、経営計画書に書いてあっても、「君はまだ全然わかっていない」と大目玉である。
会社の繁盛も長い事業の継続も「全てはお客様がお買い求めになられ、満足し、また購入していただけることでしか実現できない」。「この当たり前すぎるほど当たり前のことが、なぜわからないんだ」と常に社長に「喝」を入れ続けていた。
実際、多くの社長は商売上手であり、今現在、お客様のニーズを満たす商品・サービスを開発できているし、リーダーシップもある。