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海外旅行並みの7泊8日の長期合宿の意味
中小企業の社長が、海外出張並みに約10日間会社を空けるのは思った以上に勇気がいるものである。実際に「経営計画」作成合宿の参加に二の足を踏む人も多かったように聞いている。今のようにネットも携帯もないのだから、留守の会社が心配で仕方がない。
しかし、一倉先生は「社長が会社にいるから幹部が育たない」「知りもしないで下手に仕事の指図をするから混乱する」「あんたなんか会社にいないほうがいいんだ!」と全く取り合わなかった。ただし、会社の代表印の管理だけは留守中に勝手なことができないよう注意していたのである。
そうは言われてもはじめての社長は、3日目くらいまで会社の様子が気になって気になって、我社の未来像どころではない。ただし、多くの場合、電話もかかってこない。4日目あたりから、やっと社長の気持ちが会社から離れ、自分の会社を客観的に見られるようになり、頭の中も「今日現在の仕事」から「未来の我社のあるべき姿」へと徐々に思考が広がっていくようだった。そのように、先生から教わった記憶がある。
だから、合宿ホテルは会社に簡単には戻れないところ、海外がいいんだということで、随分以前から東南アジア各地で開催していた。私もオーストラリア、カナダのバンクーバー、韓国の済州島にも手伝いに行かせてもらった。
晩年は日本食の準備もあり、沖縄のムーンビーチホテルに何年も通ったが、先生は「携帯電話は計画書作成には邪魔だ!」と常に言われていた。距離は離れていても毎日のように電話やメールが来る環境では、意識は会社の中にあり、日々の細かいことが気になり社長として一番大切な「長期事業構想」を練るのに集中できないのだ。
集中すると徹夜組が何組も生まれ、なかには夜通し議論を戦わせ、極まれに社長同士が意見の違いからケンカになるほど真剣な姿もあった。その光景は感動ものである。会社にいては「会社のことが集中して考えられない」。何とも皮肉なことだが、体験者は皆さん7泊8日の意義を充分理解し、毎年の重要行事にして我社の未来像を想い描き確実に実行しておられた。