「8/31~9/6のFX投資戦略」のポイント
[ポイント]
・米ドル/円は先週金曜日、「安倍ショック」をきっかけに円高へ急転換。その後は、前日のFRB新方針を受けたリスクオンの米ドル全面安に後押しされた形で105円台前半まで下落した。
・株高は、短期的な行き過ぎ観、金利上昇受けた相対的な優位性の低下などから、比較的早く行き詰る可能性も。ただ、似たような構図で株安へ転換した6月に、米ドル安・円高となったことから、米ドル/円は当面下落リスク要注意か。
「安倍ショック」とパウエル・リスクオン
先週の米ドル/円は、金曜日に安倍総理の辞任の意向が伝わったことをきっかけに円高に急転換し、105円台前半での越週となりました(図表1参照)。では、今週から9月が始まりますが、さらなる円高に向かうのかどうか、考えてみたいと思います。
ところで、上述のようにきっかけは安倍総理の辞意でしたが、その後欧米市場にかけては米ドル全面安の様相となったことから、米ドル/円の下落もすでに「安倍ショック」から離れ、米ドル全面安に後押しされた可能性もありそうです。
たとえば、ユーロ/米ドルは1.19ドルを上回り、この間のユーロ高値・米ドル安値に接近しました。豪ドル/米ドルはさらにこの間の豪ドル高値・米ドル安値をも更新、一気に0.73ドル台後半へ達しました。
なぜこのように米ドル全面安が一段と拡大するところとなったのでしょうか。それは、木曜日のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演を受けた株高、リスクオン再燃の影響が考えられます。
3月の「コロナ・ショック」、株暴落一段落の後から、株と為替は株高・米ドル安、株安・米ドル高という関係が基本となってきました。これについて私は、安く調達した米ドルを売って、為替リスクをとって株などに投資する「米ドル・キャリー」の影響が大きいのではないかと考えてきました。
木曜日のパウエル講演で、インフレ率上昇に柔軟対応する方針が示されたことで、低金利政策のさらなる長期化見通しが広がると、株高、リスクオンの展開となりました。そして金曜日の「安倍ショック」。日本株急落で一時的に水を差されたものの、米国株の株高傾向が崩れず、リスクオンの流れに変わりないことを確認すると、この間の関係通り、株高に伴う米ドル全面安という展開になったということではないでしょうか。