ウェブマーケティング業界は楽して儲けようという人が多いと指摘するのは後藤ブランド社長の後藤晴伸氏だ。「高い費用をかけても売り上げは伸びなかった」「報告書を読んでも、担当者に聞いても何をしているのかわからない」「契約したとたん対応が悪くなった」……。同業者にとって耳の痛いウェブマーケティングの実態を暴き、本当の魅力を伝える。本連載は後藤晴伸著『増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番』(幻冬舎MC)の抜粋原稿です。

広告代理店とクライアントに信頼関係などない

ですから広告代理店がアカウントを持っていると、クライアントはその会社に不満を持っても乗り換えるのに躊躇してしまいます。

 

また代理店がそれまで何をしてきたかの履歴が、管理画面を見ると出てきます。もし手抜きや不正をしていると、後を引き継いだ別の会社が見ればすべて分かってしまいます。クライアントが確かに依頼したはずのことを実際にはやっていなかったとなれば、業界内にその会社の悪い評判があっという間に広まってしまうでしょう。そうでなくても運用に自信がない代理店は、競合他社には内情を見られたくないというのが本音です。

 

後藤晴伸著『増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番』(幻冬舎MC)
後藤晴伸著『増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番』(幻冬舎MC)

管理画面を見せないのも、アカウントの所有権を渡さないのも、要は自信のなさの表れです。ほかにも理由はあるかもしれませんが、何をしていたか開示されるのを嫌がる時点で、自分たちが頼りない会社だと言っているようなものです。

 

クライアントの方も、開示されないブラックボックスに年間何百万円もかけることになるとしたら、それがいいことかどうかを考えてみるべきです。中身のあることをしてくれていたなら、管理画面もアカウントも開示してまったく問題ないはずです。何を見られても大丈夫という会社の方が信用できますから、そのような会社と契約した方がいいのは言うまでもありません。広告代理店の方も、きちんとした仕事をして結果を出していれば、お客さんは逃げていきません。

 

●代理店がアカウントを公開しないわけ

 

広告代理店がクライアントにアカウントを渡さないもうひとつの理由はほかにもあります。例えばヤフーは自社の媒体を販売する代理店に関して、その代理店が持っているアカウントの数と売上をもとに評価をします。クライアントの持っているアカウントだと、いくら多く広告を出していても、評価されません。そうなると代理店も、なにもわざわざクライアントにアカウントを持たせておくことはないと考えるようになってしまいます。

 

代理店が下請け会社からクライアントのアカウントを取り上げたという例もあります。最初は月間予算が 30万円程度と少ないクライアントだったので、アカウントも含めて下請けに任せていました。ところがその商品の売上が伸びて月に200万円、300万円と広告予算が増えてくると、自社で運用すると言い出してアカウントごと持っていったのです。これも私自身の経験談です。結局は先ほどの話と同様に1、2カ月で成績が急降下し、結局元通りにして続けることになりました。結果が出せなければ、いくらアカウントを自分のものにしても無駄だという見本です。

 

なおSEO会社でも似たようなことがあって、どういうサイトからリンクを張っているかをクライアントに明かすことはまずありません。やはり本当のところを知られるのを嫌がるからです。クライアントは、広告代理店にアカウントを握られるのと同様に、何をしているか分からないまま毎月費用を払い続けることになります。

 

後藤 晴伸

後藤ブランド 社長

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    後藤 晴伸

    幻冬舎メディアコンサルティング

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