統合失調症、不安障害、うつ病…すべては「現象」
精神疾患と呼ばれるものも実在せず、みな現象にすぎません。すべて、恣意的に定義され、決定された現象です。
統合失調症と呼ばれる精神科の病気があります。これはかつて精神分裂病と呼ばれていました。しかし、精神分裂病では聞こえが悪いので統合失調症に名前を改められました。「統合が失調する」という統合失調症だったら大丈夫な名前という発想も、私にはよくわかりませんが……。
不安障害、うつ病、躁(そう)病なども、「そういう症状をうつ病と呼びましょう」「こういう人がいたら躁病という病名を付けましょう」といった約束事で決めた恣意的な取り決めにすぎません。「いやいや、抗うつ薬という薬があって、うつは治るから、うつ病は実在する病気だ」と いう主張もあるかもしれません。けれども、薬物を投与すれば人間の体や精神に変調が起きるのはあたりまえで、そのような変化は病気でない(と認識された)人でも、病気になった(と認識された)人でも同様に起きます。だから、薬物療法で何かが起きた(例えば、病気が治ったと見なされる現象が起きた)ことは、病気の実在を証明しません。
最近、ディスサイミアという病気が注目されています。割と元気な軽症型のうつ病で、仕事はできないくらいつらいんだけど、夜のコンパは大丈夫……こんな感じで紹介され、議論の的となったようです。アメリカでは昔からディスサイミアという病気は「認識されていた」病気でした。ディスサイミアも恣意的に決められた病気です。