概算見積もりではなく「詳細見積もり」の要求しよう
もっとひどいエピソードはいくらでもあります。契約が完了するまでは仕事熱心で人当りのよい住宅メーカーの営業が担当し、契約後は会ったこともない現場監督やインテリア担当などと最初から打ち合わせをさせられることもあります。営業担当者は次の契約にかかりきりになり、二度と顔を出さないケースもあるようです。
契約後に登場したインテリアコーディネーターは住宅メーカーから発注を受けた派遣会社の社員で、オプションとして家具やカーテンなどの売り込みに必死になります。それが、インテリアコーディネーターの歩合となるからです。その勢いに押されてオプションを追加してしまうと、建築費用もどんどん膨れ上がるという仕組みです。
それでは価格を尋ねるときにはどう質問をしたらよいでしょうか。それは「およそX坪のY階建ての建物を建てたら総額でいくらぐらいになりますか?」と建築計画全体の価格を教えてもらうことです。もしくは、「概算見積」ではなく、「詳細見積もりを出せますか?」と要求しましょう。するとその会社のさまざまな事情が見えてきます。
「すぐに詳細見積もりを出してくれ」は無茶な話
坪単価に何が含まれていようが関係なく、その会社が考える建物本体以外の費用や、さらに通常でも建物本体に含めないことの多い水道や下水の取出し工事、屋外給排水設備、屋外ガス配管設備、カーテン工事、照明器具工事、エアコン設置工事など、およその金額を足してもらった総額を確認すればよいのです。
その他に外構工事や、建物の取り壊しがあるならば解体工事、仮住まいの費用などを考慮すれば、おおまかな必要資金の目安が分かります。
とはいえ、相談に訪れた建築会社の担当者に「坪数がこれだから、すぐに詳細見積もりを出してくれ」というのも無茶な話です。先にも説明しましたが、建て主がどんな家を建てたいのかは打ち合わせを重ねないと見えてこないからです。
建て主がイメージする「快適な家」の中身を一つずつ確かめたうえでないと、詳細な見積もりなどつくりようがありません。ときには打ち合わせに数か月かかることもあります。
最初は詳細見積もりを出せるかどうかの確認を取る程度でいいでしょう。
そのために、会社選びの段階で多くのモデルハウスに足を運び、「こんな家で暮らしたい!」と思える会社を探してください。理想がかち合う会社とは、打ち合わせを行う中で互いに信頼関係を築いていくこともできるでしょう。
決して「坪単価いくら」の概算見積で選んだ会社と話を進めないでください。