頭皮マッサージや発毛サロン、育毛・増毛シャンプー…巷にはは多くの薄毛対策商品がはびこっていますが、果たして本当に効果があるのでしょうか? ※本記事は、青山セレスクリニック(青山院・川口院)理事長の元神賢太氏の著書『専門医が徹底解説! 女性の薄毛解消読本』(2017年刊行)より一部を抜粋・編集したものです。

薄毛に悩む女性続出、様々な「解決策」に手を出すが…

歳とともに髪が細くなってきた。抜け毛の量が増えてきた。頭頂部や分け目が薄くなって気になる――多くの女性が薄毛に悩んでいます。30~60代女性がメインの顧客層である化粧品メーカー・株式会社ハーバー研究所の調査を見ると、薄毛に悩む女性の割合は60歳以上では70.9%、20代前半でも64.1%に上るという驚きの結果が出ています。

 

薄毛に悩む女性のなかには、頭皮マッサージをしたり発毛サロンに通ったりする人も少なくありませんが、じつはこれらは科学的な根拠に乏しく、実際には発毛効果はほとんど得られません。

 

また、ヘアスプレーやシャンプーを使って、髪のボリュームや艶があるかのように見せたり、ヘアスタイルを変えたりウィッグをつけたりすることで覆い隠すことはできるものの、根本的な悩みの解決にはなりません。デリケートな問題のため、周りの人に相談することもできずに一人で問題を抱え込んだまま、自分に対する自信を持てなくなっていく…。

 

薄毛の原因は、更年期や出産により女性ホルモンであるエストロゲンが減少すること、過度なダイエットや不規則な生活などさまざまですが、薄毛は加齢とともに進行するのが一般的です。いつまでも若々しく美しくありたいという女性の願いにもかかわらず、髪に関しては結局「歳には勝てない」とあきらめてしまう人が多いのが実情なのです。

 

美しさをあきらめるだけではなく、他人の視線が気になるようになり、中には頭を見られないように満員電車や人ごみを避けるようになる、人と会うのすらおっくうになるなど、薄毛になることで新たに発生するストレスも深刻なものとなっています。

 

結局、歳には勝てない…?
結局、歳には勝てない…?(※写真はイメージです/PIXTA)

 

自分の外見について何らかのマイナス部分に気づいたとき、「これではいけない! 何かしなければ…」と思いながらも、なかなか実践できないのは薄毛対策に限らず、人間の常。それでも、実際いろいろな対策を施している人が多いのは、意識が高く、立派なことです。

 

しかしながら、女性たちが「大切だ」と思っていることや「実際に行っていること」は、果たして本当に薄毛改善につながることばかりなのでしょうか?

 

自分の薄毛を意識したとき、まず人が求めるのは「情報」ではないでしょうか。「Beauty総研」の調査によると、薄毛対策の情報源にも明らかな男女差があります。

 

男性は年代を問わず、圧倒的に「テレビ広告」「テレビ番組」が第1位。確かに男性向けの薄毛対策の情報を、テレビで目にすることは非常に多いものです。それが影響しているのでしょう(図表1参照)。

 

それに対して女性は「美容総合サイトや口コミサイト」「友人・家族・同僚の口コミ」が上位を占めます。加えて、「理容師・美容師への相談」という答えも目立ちます。つまり、男性は完全に「テレビ」の情報に頼り、女性は人の口コミやアドバイスを重視することがわかります。

 

  出所:Beauty総研「薄毛に関する意識調査」/2014年  対象:20~59歳の男性766人、女性1,383人
[図表1]男女別・薄毛対策の情報源出所:Beauty総研「薄毛に関する意識調査」/2014年
対象:20~59歳の男性766人、女性1,383人

 

男性が注目するテレビ広告やテレビ番組、また女性が影響を受けるサイトや口コミ…。これらが正しい情報だけを与えてくれるのであれば、もちろん何の問題もありません。しかし、もしそれが正しい方法ばかりであるならば今頃、薄毛で悩む人は皆無になっているはずではないでしょうか。

 

ところが、薄毛の悩みを抱える人は絶えることはありません。すなわち、巷に氾濫する薄毛対策術には疑問を持たざるを得ないものも少なくないということです。

 

“薄毛ビジネス”とでも呼ぶべきヘアケア市場は、今やかなりの規模となっています。ある調査によれば、その規模は4200億~4300億円とされ、それ以上と計算する調査もあります。

まるで「子どもだまし」、薄毛ビジネスのひどい実態

矢野経済研究所による調査では、2015年度の事業者売上高ベースで規模として4383億円。その内訳として、「毛髪業(カツラ)市場」が1402億円、「植毛市場」が41億円、「発毛・育毛剤市場」が672億円、「ヘアケア剤市場」が2268億円というデータが出ています(図表2、3参照)。

 

出所:矢野経済研究所/2016年 出所:矢野経済研究所/2016年  備考:いずれも事業者売上高ベース。毛髪業市場は、カツラ・増毛および育毛・発毛サービスの提供やそれに伴う商品販売などを対象とし、ヘアケア剤市場にはシャンプー、リンス、トリートメントを含む。
[図表2]ヘアケア市場規模推移と予測 出所:矢野経済研究所/2016年
備考:いずれも事業者売上高ベース。毛髪業市場は、カツラ・増毛および育毛・発毛サービスの提供やそれに伴う商品販売などを対象とし、ヘアケア剤市場にはシャンプー、リンス、トリートメントを含む。

 

出所:矢野経済研究所/2016年 備考:いずれも事業者売上高ベース。毛髪業市場は、カツラ・増毛および育毛・発毛サービスの提供やそれに伴う商品販売などを対象とし、ヘアケア剤市場にはシャンプー、リンス、トリートメントを含む。
[図表3]ヘアケア市場カテゴリー別構成比(2015年度/438,300百万円) 出所:矢野経済研究所/2016年
備考:いずれも事業者売上高ベース。毛髪業市場は、カツラ・増毛および育毛・発毛サービスの提供やそれに伴う商品販売などを対象とし、ヘアケア剤市場にはシャンプー、リンス、トリートメントを含む。

 

いずれの市場も横ばいではありながら大変な規模といえますが、これらは本当に薄毛を改善してくれるものばかりなのでしょうか。

 

薄毛が気になり始めたとき、多くの女性がまず試してみるのが薄毛によいとされるシャンプー類です。こうした商品はテレビや新聞の広告で目にしやすく、さほど高価でないものも多いので敷居が低く、手を出しやすいのでしょう。特に通販シャンプーには隠れた大ヒットとなっているものもあります。

 

しかしながら、私のような医療者から見れば、これは子どもだましのようなものであり、薄毛対策としてはまったく的はずれなアプローチ。発毛と薄毛のメカニズムから考えれば、髪にいいとされる成分が入ったシャンプーを使ったところで、薄毛が治るわけはないのです。

 

育毛シャンプーには、髪にいいケラチンなどが入ったものもあります。確かにケラチンは髪を構成する重要なタンパク質です。しかし、そもそも頭皮は排泄する場所。頭皮のみならず、皮膚は汗の排泄器官であり、排泄器官という点で、肛門や尿道と同じ役割を持っています。

 

外用剤のようにしっかり時間をかけて吸収させるならまだしも、育毛シャンプーやトリートメントを短時間で振りかけたところで、ケラチンが毛根に吸収されるわけもなく、毛は生えてきません。

 

たとえば、「髪にハリ・コシを与える」といった宣伝文句で販売されるシャンプーやトリートメントを使うと、確かに髪にハリやコシが出てきたように感じられることがあるかもしれません。しかし、これは実際にハリのある髪が新しく生えてきたわけでも、既存の髪にコシが出てきたわけでもありません。すでに生えていた髪が薬品によってコーティングされたために、ハリやコシが出てきたように錯覚するだけのことです。

 

こうしたシャンプーやトリートメントを、見せかけのボリュームを出すためと割り切って使うならまだしも、薄毛が進行し始めている段階で使用しても、まったく発毛効果は期待できないのです。

 

また、実際に髪によいとされる成分が入っていたとしても、それはごく微量であることがほとんど。そこまで気にしてシャンプー選びをしても、大して意味はありません。

 

それにもかかわらず、「このシャンプーを使っていれば毛が生えてくるはず」と信じて使い続けるうちに、薄毛はどんどん進行していきます。そして、ますます手遅れになってしまうというわけです。

 

また、男女ともに多くの人が同じく手を出しやすいのが育毛剤や発毛剤と呼ばれるものです。こうした商品はまさに玉石混交。ほかにも個人差はありながらも一定の効果があるとされる製品もあります。

 

ところが、中にはまったく効果の出ない製品が数多く存在するのも事実。医師や薬剤師のおすすめならある程度は間違いありませんが、自分で選ぶ場合は注意が必要です。

 

 

元神 賢太

青山セレスクリニック(青山院・川口院) 理事長

船橋中央クリニック 院長

 

 

専門医が徹底解説! 女性の薄毛解消読本

専門医が徹底解説! 女性の薄毛解消読本

元神 賢太

幻冬舎メディアコンサルティング

いつまでも若々しく美しくありたいと願いながら、髪の悩みに関しては「結局、歳には勝てない」とあきらめてしまう女性が多いという現実……。 「美のコンシェルジュ」として、10代から70代までと幅広い女性たちの薄毛の悩みを…

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